マイクロデータセンターとは?DX時代の小型データインフラの特徴と活用法
課題解決のためのノウハウ
電気料金をはじめとする運用コストの上昇や、サーバーの自社運用(オンプレミス)を続けることによる管理工数の増加など、多くの企業で「見えないコスト」は、年々膨らんでいるのではないでしょうか。本記事では、オンプレミスとデータセンターをTCO(総所有コスト)の観点から比較し、電力効率、運用管理、拡張性、BCP対策、脱炭素化といった視点からコスト削減のポイントをお伝えします。データセンター利用を検討されている企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
オンプレミスとデータセンターを維持・管理にかかる全費用を比較した場合、データセンターの利用には多くのメリットがあります。ここでは、資産や人件費、電気料金などの面からデータセンター利用のメリットを見てみましょう。
オンプレミスでかかる費用は、サーバー機器本体の購入費用だけではありません。サーバールームの空調設備の電気代、UPS(無停電電源装置)の導入・メンテナンス費用、サーバー設置スペースの賃料、専任IT担当者の人件費など隠れたコストが発生します。
これらをすべて可視化することで、データセンター利用料との比較によるコスト差の明確化が可能です。一般的に10台以上のサーバーを運用している企業では、データセンターへの移行により年間20〜40%のTCO削減が実現する可能性もあるといわれています。
また、オンプレミス環境では上記以外にも、セキュリティ対策(入退室管理システム、監視カメラなど)の導入費用、定期的なハードウェア更新、保守契約費用、障害発生時の緊急対応コストなども考慮が必要です。さらに、サーバールームの温度・湿度管理に適した空調設備の維持費用も継続的に発生します。
これに対し、データセンター利用では、これらのコストが月額料金に含まれるため、コスト削減に加え、予算管理の簡素化も可能です。
TCOについて詳しくは、「クラウド時代のTCO戦略とは?IT投資を最適化する総所有コストの理解と管理」もあわせてご確認ください。
一般的なデータセンターのPUE(電力使用効率)は1.5~2.0程度ですが、オフィスのサーバールームのPUEは2.0以上が一般的です。つまりPUEの値が低いデータセンターの選択により、付帯電力は削減できます。また、データセンター事業者は電力会社と大口の高圧受電契約を結んでいるため、自社運用よりも有利な電力単価で運用できる可能性もあります。
たとえば、IT機器の消費電力が月額100万円のサーバー運用を想定した場合の電力コストは、オフィス環境(PUE 2.0)では空調や電源設備で追加100万円、合計200万円です。これに対して、PUE 1.5のデータセンターであれば付帯電力は50万円に抑えられ、年間で600万円の電力コスト削減につながる計算です。
サーバー運用をプロに任せることで人的負担の軽減による生産性の高いコア業務への集中が実現します。また、障害をはじめとする万が一の際のリスクやコストの低減にもつながります。
サーバーの日常的な監視、バックアップ作業、パッチ適用といったルーティンワークを外注化することで、生産性向上も可能です。
具体的には、社内のIT人材をDX推進のための新システム開発、業務プロセスの改善、データ分析基盤の構築など、企業の競争力向上に直結する戦略的なプロジェクトに集中することができます。これは、単なるコスト削減だけでなく、IT投資のROI(投資対効果)を最大化する重要な要素です。
自社で24時間365日の有人監視体制を構築するには、複数名の専任スタッフが必要となり、人件費が大きな負担となります。これに対し24時間365日体制で施設やシステムの監視を行っているデータセンターであれば、トラブル時の迅速な初動対応が行え、人件費の負担も抑えられます。これにより、自社で監視体制を構築するよりも低コストで高い安全性と可用性の確保が可能です。
夜間や休日の障害対応を考慮すると、自社で同等の体制を整えるには複数名の交代要員が必要となり、年間数千万円規模の人件費が発生する可能性もあります。データセンターの活用により、この大きなコスト負担を回避しつつ、専門知識を持つスタッフによる高品質な運用サポートを受けられるようになるでしょう。
データセンターの運用サポートについて詳しくは、「マネージドサービスとは?メリット・デメリットやフルマネージドサービスとの違い」もあわせてご確認ください。
データセンターでは、障害発生時の対応フローが確立されており、迅速な復旧が可能です。障害対応にかかる時間的コストを最小限に抑えることで、ビジネスへの影響も軽微に抑えられます。
単純にアウトソーシングにより人的コストを削減したいといった理由だけでは、データセンター利用の効果はそれほど得られないかもしれません。自社の人的負担を軽減し、コスト低減を達成することで何を実現したいかまでを検討した上で、データセンターを利用すれば、より高い効果が期待できるようになります。
データセンターで自社サーバーを運用する際、適切な導入を行わなければ高い効果は期待できません。またクラウド化についても十分な検討が必須です。ここでは、将来の変動に合わせて設備を最適化し、クラウド化に際しても無駄な投資を防ぐポイントを解説します。
データセンターのハウジングサービスの中には、1ラック未満の分割利用(1/2ラックや1/4ラックなど)に対応している施設もあり、初期投資の抑制が可能です。事業の拡大やデータ量の増加に合わせて、必要な時に必要な分だけラックを追加契約することで、余剰設備コストを排除できます。
自社でサーバーを購入する際、将来の拡張を見越して初期段階から大きめのスペックや台数を確保しようとしてしまうと、過剰投資になる上、その分のスペース確保も必要です。一方、ハウジングサービスもサーバー購入は必要なものの、スペースを気にすることなく実際の需要に応じて段階的にラックを追加できるため、自社の成長に応じた柔軟な運用ができます。
データセンターの柔軟な利用について詳しくは、「コロケーションとは?情報管理担当者が知っておきたい基礎知識」もあわせてご確認ください。
すべてのシステムをクラウド化すると、データ転送料などの従量課金により、かえってコストが膨張するケースもあります。そのため、データセンターのハウジングサービスとクラウドサービスを組み合わせたハイブリッド環境の構築により、システムの特性に応じた配置が可能になり、全体のITコストを最適化できます。
たとえば、基幹システムはデータセンターのハウジング、開発・テスト環境はクラウド、という使い分けが可能です。
また、大容量のデータベースやファイルサーバーは通信コストを考慮してハウジングに配置し、一時的な負荷増加に対応する必要がある業務アプリケーションはクラウドで運用するといった柔軟な構成も可能になります。それぞれの企業の状況に応じた使い分けにより、性能とコストのバランスを最適化できるでしょう。
ハイブリッド環境について詳しくは、「ハイブリッドクラウドとは?メリット・デメリットと使い分け例を紹介」もあわせてご確認ください。
データセンターの選択は、自社コストの削減や人的負担の軽減以外の観点からも検討が必要になります。具体的にはBCP対策にもつながるか、脱炭素化に貢献できるかなどです。ここでは、BCP対策と脱炭素化の観点からデータセンター選択のポイントを解説します。
自社ビルに耐震補強や免震構造を施し、自家発電設備やUPSを導入してBCP対策を講じるには、大規模な投資が必要です。さらに、これらの設備を定期的にメンテナンスするコストも継続的に発生します。
プロフェッショナルなデータセンターは、高い耐震基準、複数の電源系統、大容量の自家発電設備、24時間365日の有人監視体制を備えているケースが多く、このようなデータセンターを活用することで、災害時の復旧コストやビジネス中断による機会損失を最小化することが、長期的なコスト削減につながるでしょう。
また、データセンターでは入退室管理、監視カメラ、セキュリティゲートなどの物理的セキュリティ対策が標準装備されており、自社で同等のセキュリティレベルを構築するコストと比較して大幅な削減が期待できます。さらに、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証取得済み施設を選択すれば、セキュリティガバナンスの観点からも安心です。
BCP対策について詳しくは、「BCP対策とは?企業の災害対策に重要なデータセンター選び」もあわせてご確認ください。
企業が自社で再生可能エネルギーを調達しようとすると、太陽光パネルの設置、蓄電池の導入、系統連系の工事など、莫大な初期投資が必要です。そうした際は、再生可能エネルギー由来の電力を使用するオプションプランを提供しているデータセンターの選択をおすすめします。再生可能エネルギーオプションの活用により、自社運用に比べコストを抑えてサーバー運用に伴うCO2排出量の削減が可能です。
これは、企業のScope2(間接排出:購入した電力由来のCO2)の削減に直接貢献し、取引先からのサプライチェーン脱炭素要求に応えることができます。
脱炭素化について詳しく知りたい方は、「脱炭素化に挑戦する企業の取り組みとは?CO2削減を目指した具体的施策」もあわせてご確認ください。
香川県という立地と大手パブリッククラウドとダイレクトに閉域接続できるサービスを提供するPowericoを活用したコスト削減ポイントは次のとおりです。
Powericoは、南海トラフ地震の想定震度が比較的小さい香川県高松市に位置し、地震リスクが首都圏や関西圏と比較して低い地域です。
高い安全性と適正な価格を両立できる理由は、この地理的優位性にあります。地方データセンターの活用は、首都圏一極集中のリスク分散とコスト最適化を同時に実現する戦略的な選択です。
さらに、首都圏以外の拠点を持つことで、災害発生時の事業継続性が向上します。万が一、首都圏で大規模災害が発生した場合でも、地理的に離れた香川県のデータセンターであれば影響を最小限に抑えられ、システムの可用性を維持できます。
地方データセンターの利点について詳しく知りたい方は、「データセンターを地方に設置するメリットとは?政府の支援策と活用事例も解説」もあわせてご確認ください。
Powericoでは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどの大手パブリッククラウドとダイレクトに閉域接続ができるサービスを提供しています。また、STNetの「STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]」と組み合わせれば、物理サーバーとクラウドのハイブリッド環境を同一施設内で構築することも可能です。その結果、運用管理の効率化とコスト最適化を実現します。
データセンターへの移行は、TCO(総所有コスト)を削減し、将来の成長に向けたリソースを確保するための戦略的判断です。オンプレミスでは、電気料金、空調費、人件費、設置スペース賃料、減価償却といった多くのコストが積み重なります。
一方、データセンターを活用することで、高効率な冷却システム、専門スタッフによる24時間365日監視、柔軟なスケーラビリティ、堅牢なBCP対策を大規模投資なしに享受できます。STNetのデータセンター「Powerico」は、コスト効率・BCP・脱炭素化を網羅したソリューションを提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
Q. オンプレミスとデータセンター、どちらがコスト効率がよいか
A. データセンターの方がTCO(総所有コスト)の観点で優位なケースが多いとされています。オンプレミスでは、サーバー本体の費用だけでなく、空調費、設置スペース賃料、専任スタッフの人件費などの「隠れたコスト」が積み重なります。データセンターでは、大口受電による電力単価の優位性、高効率な冷却システム、24時間365日の専門スタッフによる監視体制を利用料金内で活用できるため、総合的なコスト削減が期待できます。
詳しくは「TCO(総所有コスト)で見た際のデータセンター利用のメリット」をご覧ください。
Q. データセンターへの移行で人件費は削減できるのか
A. 削減できます。自社で24時間365日の有人監視体制を構築するには、複数名の専任スタッフが必要となり、人件費が大きな負担となります。データセンターでは、専門スタッフが障害対応を行うため、この人件費を削減できます。さらに、社内のIT人材をルーティンワークから解放し、DX推進などの戦略的プロジェクトに集中させることができます。
詳しくは「運用管理の負担を『アウトソーシング』することで生産性の高いコア業務への集中が実現」をご覧ください。
Q. 小規模な企業でもデータセンターはコスト効率がよいか
A. はい、小規模な企業でもコスト効率の良い利用が可能です。スモールスタートで必要な分だけ契約し、事業の拡大に合わせて柔軟にラックを追加することで、余剰設備コストを排除できます。将来の拡張に合わせて最初から多くのスペースを確保するコストは必要なくなります。
詳しくは「スモールスタートの推奨:必要な分だけ借りるラック・スペース活用」をご覧ください。
Q. データセンターを利用するとBCP対策のコストも削減できるのか
A. 削減できます。自社ビルに耐震補強や免震構造を施し、自家発電設備やUPSを導入してBCP対策を講じるには、大規模な投資が必要です。プロフェッショナルなデータセンターは、高い耐震基準、複数の電源系統、大容量の自家発電設備、24時間365日の有人監視体制を備えているケースが多く、これらを利用料金内で活用できます。さらに、再生可能エネルギー導入済みのデータセンターを選択すれば、追加投資を抑えつつ脱炭素化も実現できます。