ファシリティマネジメントとは?施設管理との違いやオフィスにおける役割、活用例を解説

課題解決のためのノウハウ
突然の停電で、自社のサーバーが停止してしまったら――。業務システムが止まり、大切なデータが失われ、取引先からの信用も揺らぐかもしれません。中小企業にとって、停電は事業継続を脅かす重大なリスクとなります。本記事では、そうした停電リスクから企業を守るための具体的な対策として、データセンターの活用を紹介します。
近年、気候変動による自然災害の増加により、停電リスクが深刻化しています。特に中小企業では、限られた予算や人員体制の中で十分な対策を講じることが困難な状況にあります。大企業と比べ、予備電源設備の導入や専門技術者の確保が難しく、また工業団地や郊外に立地することが多いため、停電時の復旧優先順位が低くなりがちです。
自然災害による停電は、事業継続に多大な影響を及ぼす可能性があります。過去の大規模停電の事例を見ても、その影響の深刻さは明らかです。例えば、東日本大震災では約466万戸が停電となり、東京電力管内のほとんどの地域で停電が発生しました。停電の解消には地域によって大きな差があり、3日で8割、8日で9割の地域で復旧したものの、一部の地域では3カ月以上もの長期停電を余儀なくされました。
特に、市内中心部から離れた場所に事業所を構えている中小企業にとっては、停電は想像以上に身近な脅威となります。工業団地や郊外に立地する事業所では、復旧作業が後回しになりやすく、停電が長期化するケースが少なくありません。今後もし震災があれば、その後は電力需給が逼迫し、一部地域での計画停電の実施や、大規模な需要抑制が求められるなど、企業活動への影響があると考えられるでしょう。
突然の停電によるサーバーダウンは、事業継続に甚大な影響をもたらす可能性があります。NPO日本ネットワークセキュリティ協会の調査によると、年商10億円規模の企業でサーバーダウンが発生した場合、1日あたりの損失額は数百万円に上るとされています。受発注システムや在庫管理システムが停止すれば、たちまち業務が麻痺してしまいますし、データが破損した場合はバックアップが不十分だと復旧に多大な時間とコストがかかることもあります。加えて、システム停止による取引先への影響は、長年かけて築き上げた信用を一瞬にして失墜させかねません。中小企業にとって、こうした事態は会社の存続すら脅かす深刻な経営リスクとなるでしょう。
このように、停電リスクは単なるシステム障害にとどまらず、企業活動全体に波及する深刻な脅威となり得る為、適切な対策を講じることが不可欠なのです。
参照:インシデント損害額調査レポート第2版|NPO日本ネットワークセキュリティ協会
サーバーダウンについて詳しくは、「サーバーダウンの原因は?リスクと防止策について解説」をご覧ください。
多くの中小企業では、限られた経営資源の中で工夫をしながらサーバー運用を行っています。しかし、専任のIT担当者の確保や、高度な専門知識を持つ人材の採用には予算面での制約もあり、理想的な停電対策の実現が難しい状況にあります。このように、中小企業特有の経営環境において、十分な停電対策を実施するにはさまざまな課題があるのが実情です。
中小企業における停電対策は、思うように進まないケースが少なくないようです。日常的に発生している具体的な事例を見てみましょう。
これらは、サーバー管理の基本的な知識不足による事故ともいえます。
また、設備面での課題も深刻です。停電対策として必須のUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)を導入している企業でも、定期的なバッテリー交換の費用捻出に苦心しているのが実情です。バッテリーの経年劣化は避けられず、交換時期を延ばすことはサーバーの安定稼働を脅かすリスクとなります。
さらに、自家発電設備については、その高額な導入コストから、多くの企業が導入を断念せざるを得ない状況となっているでしょう。このように、限られた予算のなかで十分な停電対策を実現することは、中小企業にとって大きな課題となっているのです。
運用面における課題も看過できません。「システムが止まったらすぐに文句を言われるが、日ごろの苦労は誰も分かってくれない」というIT担当者の声も聞かれます。多くの中小企業では、総務部や経理部との兼務でサーバー管理を任されているケースが多く、以下のような問題が発生しています。
こうした状況下では、停電対策はもちろんのこと、日常的なサーバー運用も困難といえます。結果として、定期的な保守点検の実施や専門技術者の確保といった運用面での負担が、多くの中小企業の悩ましい現実となっているのです。
緊急時のサーバー対策について詳しくは、「BCP対策に欠かせないサーバーの重要性と選択のポイントを解説」をご覧ください。
データセンターの活用は、中小企業が抱える停電対策の課題を包括的に解決する有効な選択肢の一つとなっています。特に、これまで見てきた自社運用におけるさまざまな課題を、専門性の高いインフラと体制で解決できる点が大きな特長です。
一般的に、データセンターでは停電対策として複数の機能を備えています。まず、電力会社からの複数系統受電を基本とし、大容量UPSと自家発電設備による冗長化された電源供給を確保します。また、高性能な空調システムによる最適な温度管理で機器の安定稼働を実現します。さらに、専門スタッフによる24時間365日の監視で、不測の事態にも迅速に対応できる体制を整えています。このような多層的な電源管理により、企業の大切なシステムを停電リスクから確実に守っているのです。
データセンターの活用は、以下のようなメリットをもたらします。
データセンターによっては、小規模なスペースから利用を開始できるサービスも提供しており、中小企業でも導入しやすい環境が整っています。必要最小限のスペースから始められる場合、初期費用と運用費用を抑えながら、高品質なインフラを利用することが可能です。
24時間365日の監視体制による高可用性と信頼性も特長です。冗長化された設備により、安定したサービス利用を実現できます。
高度なセキュリティ対策も標準装備されています。物理的・技術的の両面から、確実な情報資産の保護が可能となります。
「ひとり情シス」といわれる課題の解決にも有効です。サーバー管理やネットワーク構築、そして特に深刻な障害時の復旧対応など、高度な専門知識を必要とする業務の負担から解放されます。一人では対応が難しい緊急時のトラブル対応も、専門スタッフに任せることができます。
ビジネスの成長に合わせた柔軟なスケーラビリティも魅力の一つです。必要に応じてサーバーやネットワークを拡張できます。
さらに、自社スペースの有効活用も可能となります。自社内にサーバールームを設置する必要がないため、そのスペースを他の用途に活用できるでしょう。
データセンターのサーバーラックのスペースについて詳しくは、「データセンターのサーバーラックの規格とは?種類や選び方を解説」をご覧ください。
そのほか、データセンターのメリットについて詳しくは、「データセンターとは?5つのメリットと失敗しない選び方を徹底解説」をご覧ください。
停電対策は、中小企業にとって避けては通れない課題となっています。自社設備内でのサーバー運用では、予算や人員の制約から十分な対策を講じることが難しく、事業継続に関わるリスクを抱えたままの企業も少なくないでしょう。
こうした課題を解決する手段として、データセンターの活用が注目されています。専門スタッフによる24時間365日の運用管理、冗長化された電源設備、高度なセキュリティ対策など、自社では実現が困難な高品質なITインフラを手に入れることができます。
STNetが提供するデータセンター「Powerico(パワリコ)」のコンパクトハウジングは、サーバー機器1台という小規模なスペースから利用可能で、フルハウジングと同等のファシリティとセキュリティを実現し、中小企業のニーズに応えるソリューションです。24時間365日の運用管理体制と強固な電源インフラにより、お客さまの基幹システムを安定的に運用します。また、充実したマネージドサービスや、マニュアルレスで、電話一本で技術スタッフが遠隔作業を代行するリモートハンズサービスにより、日々のシステム運用の負担を大幅に軽減することができます。さらに、STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]との組み合わせにより、必要な分だけ仮想サーバーを利用でき、ITインフラを最適化することも可能です。同一データセンター内で持ち込みIT機器とクラウドサービス利用といったハイブリッド構成の実現により、用途による使い分けなど柔軟なサーバーの利用や、段階的なクラウド移行にも対応できます。
停電対策の強化や、サーバー環境の最適化をご検討中の企業担当者さまは、ぜひSTNetにご相談ください。お客さまのニーズに合わせた最適なソリューションをご提案します。