ファシリティマネジメントとは?
施設管理との違いやオフィスにおける役割、活用例を解説

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「施設」「設備」といった意味を持つファシリティ。近年、オフィスにおいて施設や設備の適切な管理を行うファシリティマネジメントが大きな注目を集めています。もちろん、これまでにもオフィスにおける施設管理はあったものの、それは単純に施設や設備の修繕や交換を意味するものでしかありませんでした。しかし、ファシリティマネジメントが注目を集めているのは、経営的な視点で施設管理を行う点です。今回は、オフィスにおけるファシリティマネジメントの重要性やプロパティマネジメントとの違い、実施のメリットなどについてお伝えします。

オフィスにおけるファシリティマネジメントとは?

ファシリティマネジメントとは、企業や団体が持つ施設や設備を経営的な視点で管理し、将来にわたって最適化を図ろうとする取り組みを指すものです。公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」と定義しています。

従来の施設管理との違い

施設や設備の管理という点では、ファシリティマネジメントも施設管理も同じです。では、なぜファシリティマネジメントが注目を集めているかと言えば、経営戦略のひとつとして行う取り組みであるという点が挙げられます。

一般的な施設管理は、それぞれの耐用年数、減価償却の管理に加え、定期的なメンテナンスや修繕などを行い、常に快適な環境を維持することが目的となります。しかし、ファシリティマネジメントでは、単純な環境維持だけが目的ではありません。

例えば、業務システムにトラブルがあった場合、これまでの施設管理であれば予算に応じて修繕もしくは購入のどちらかを選択するだけです。しかしファシリティマネジメントでは、経営的な視点からバージョンアップをするのか、業務内容に応じて新しいシステムを導入するのかを検討します。また、導入する際には、業務プロセスの改善が必要かどうかまでも検討するのがファシリティマネジメントです。具体的には次の表を参照してください。

施設管理 ファシリティマネジメント
目的 施設や設備の維持・保全を実現させる 施設や設備を資産と考え、経営的な視点から最適化を図る
対象 施設・設備 施設や設備のほか、業務システムやデータなども含む
優先事項 予算内に収められるかどうか 経営戦略に照らし合わせて必要かどうか
担当部署 総務・施設管理 経営戦略部門を中心に全部署が連携を取って進める

施設管理と言えば総務や施設管理部門が行うのが一般的ですが、ファシリティマネジメントでは現場を知る者が中心となって進めて行きます。そうした意味では、すべての部署が経営戦略を策定する経営層と連携し、情報共有をしながら管理していく必要があると言えるでしょう。

プロパティマネジメントの関係

プロパティマネジメントとは物件に関わるあらゆる管理業務を指し、不動産管理業務の一環として行われるものです。具体的には、物件の点検や清掃、工事、修繕業務に加え、入居者の募集・契約締結・更新業務、物件希望者に対する物件案内・仲介なども行います。

一般的には不動産のオーナー、もしくはオーナーから委託された業者が行うのがプロパティマネジメントです。前述した一般企業が行うファシリティマネジメントとは、別物であると考えてよいでしょう。

ファシリティマネジメントの基本的なメリット

ファシリティマネジメントを実施することで得られる基本的なメリットは、次のとおりです。

業務コストの削減

ファシリティマネジメントでは、業務内容や将来的な経営戦略をもとに施設や設備の最適化を行います。その結果、無駄なプロセスの改善にもつながり、業務効率化、ひいては業務コスト削減の実現も可能です。

従業員満足度の向上

ファシリティマネジメントは、単純に施設や設備の改善・買い換えを行うものではありません。効率化や生産性向上を目的として改善・買い換えを行うため、従業員の負担軽減や利益向上にもつながり、モチベーションアップや満足度向上の可能性も高まります。

社会貢献の実現

消費電力の少ない空調の導入や業務効率化による残業時間削減、リモートワーク導入によるオフィスの電力消費やゴミ削減など、ファシリティマネジメントには省エネ効果も期待できます。その結果、二酸化炭素排出量の削減につながり、社会貢献も可能になるでしょう。

オフィスにおけるファシリティマネジメントの活用例

オフィスにおけるファシリティマネジメントとしては、省エネ対策や業務のクラウド化などが考えられます。ここでは前項で挙げたメリットをもとに、それぞれの活用例を見てみましょう。

省エネ対策

省エネ対策としては次のような施策が考えられます。

  • 蛍光灯から消費電力の低いLED照明への変更
  • 照明の間引きやあまり使っていない窓際照明の消灯
  • タスク・アンビエント照明(オフィス空間で人がいる空間にのみ照明を効率的に調整するもの)の導入
  • 省エネ効果の高い最新の空調機器の導入
  • 室内温度の適切な調整
  • 室内機フィルター、室外機フィンの清掃の徹底 など

業務のクラウド化

省エネ対策は、物理的にオフィス面積を減らすことによっても実現可能です。例えば、Webサーバーや業務システムをクラウド化すれば、その分のスペースが必要なくなりオフィスの省スペース化が実現します。その結果、省エネ対策はもちろん、BCPの実現にもつながるでしょう。

また、業務をクラウド化すれば、在宅でも業務が行えるようになりテレワークが可能になるため、オフィスの省スペース化はさらに実現しやすくなります。

テレワークについてより詳しくは、「会社で統一する現実的なリモートワークの方法」をご覧ください。

また、クラウドの種類について詳しくは、「クラウドとは?その種類や活用のメリット・デメリット、導入のポイントを解説」をご覧ください。

オフィスにおけるファシリティマネジメントのポイントはシステムの適切な管理

ファシリティマネジメントとは、企業もしくは団体が持つ施設や設備を、経営的な視点で管理するもので、将来にわたって最適化を図ろうとする取り組みです。従来の施設管理が、施設や管理の維持保全を目的としているのに対し、ファシリティマネジメントは、企業が持つあらゆる施設や設備、資産の将来的な最適化を目的としています。

ファシリティマネジメントの実現には、施設管理のように総務や施設管理部門単体ではなく、あらゆる部署が連携し、経営戦略部門と情報を共有しながら行うことが重要です。また、施設や設備、資産の最適化により、オフィス環境の整備はもちろん、業務プロセスの改善や効率化にもつなげていく必要があります。その一環としておすすめなのが、業務システムのクラウド化やデータセンターハウジングサービスの利用です。

例えば、Webサーバーをクラウド化することで、オフィスの省エネにつながるだけではなく、管理担当者の負担軽減、BCPの実現など多様なメリットが生まれます。また、業務システムをクラウド化すれば、テレワーク導入による多様な働き方の実現も可能です。クラウド化が難しい専用システムなどはデータセンターに移設するのも一案です。

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