DR対策とは?BCPに欠かせないサーバーやシステム復旧を迅速に行うための方法を解説

課題解決のためのノウハウ
業務のデジタル化が進むにつれ、企業にとって重要な資料は紙から電子データへと移行しています。そのため、電子データの保管・管理がますます重要になっています。社内のファイルサーバーへ保管した場合、台風や地震などの自然災害、サイバー攻撃やシステム障害などの被害に遭えば、重要なデータがすべて消失してしまうリスクが生じます。
そこで近年、注目されているのがクラウドサービスやデータセンターへのハウジングを活用したBCP対策です。今回は、信頼性の高いクラウドサーバーやデータセンターに重要なデータを保管することで、万が一のリスクを最小限に抑え、迅速な事業の復旧を可能にするポイントについてお伝えします。クラウドとハウジング、それぞれの特徴と選択のポイントを解説し、自社に適したサーバー環境を選ぶためのヒントをご紹介しますので、企業担当者さまはぜひ最後までご覧ください。
企業がBCP対策を行う主な目的は、万が一の事態が起きた際に「被害を最小限に抑えること」と「迅速に基幹事業を再開させること」といえるでしょう。自社の「ヒト・カネ・モノ」、そして情報を守ることはもちろん、関連会社、サプライチェーンを含めて被害に遭わないように守ることが重要です。
BCP対策の目的について詳しくは「BCP対策とは?その目的や策定方法、注意点などを解説」もご覧ください。
BCP対策を行ううえで、サーバーは特に次の点において大きな役割を果たします。
業種によって異なるものの、「生産管理」「販売管理」「在庫管理」などの業務を継続するためには、適切なサーバーの運用管理により、安定したシステム稼働を維持することが不可欠です。サーバーに不具合が起きれば、基幹業務を担うシステムの安定稼働が妨げられ、事業継続が困難になります。
サーバーは基幹システムの運用基盤であると同時に、重要なデータの保管・管理を担っています。適切なファイルサーバーの管理を怠ると、情報漏洩や窃取のリスクが生じ、業務継続が困難になります。また、社会的信用の失墜にもつながる可能性があります。
サーバーに保管したデータは、定期的にバックアップを行います。そのため、災害が発生した場合でもバックアップからデータを復元することで、早期の事業再開が可能です。また、サーバーの冗長化により、一部のハードウェアが故障した場合でもシステムを継続的に稼働させられます。これにより、災害が起きても、すべてのシステムがダウンしてしまうリスクを軽減することが可能です。
ここまでに挙げたように、サーバーの適切な運用管理は、BCP対策の中核をなすものです。自社の大切なデータを守り、早期の事業再開を可能にするためには、日頃からサーバー運用管理体制を強化しておくことが重要といえるでしょう。
BCP対策において重要な役割を果たすサーバーは、万が一に備え適切な対策を講じておかなければなりません。具体的には次のような対策が求められます。
サーバーは、故障や停止を防ぎ、常に利用できる状態にする高可用性に加えて、一部の機能が故障や停止しても、全体としては機能する冗長化を同時に果たす必要があります。
そのためには、複数のサーバーをグループ化してひとつのシステムとして運用するクラスタリングや、複数のストレージやサーバー間でデータをリアルタイムに反映・同期させるレプリケーション、冗長電源や冗長ネットワークの利用などが求められます。
データバックアップとリストア機能はBCP対策において極めて重要です。定期的なバックアップを取ることはもちろん、必要に応じて迅速かつ確実にデータを復旧できる状態にしておくことが欠かせません。
バックアップしたデータは、災害時のリスク分散のため、データセンターやクラウドサービスを利用して遠隔地に複製することが推奨されます。また、リストア手順を定期的に確認・更新しておくことで、災害発生時に速やかにデータを復元できる体制を整えることができます。
万が一に備え、システムと業務の継続性を確保するためには、ディザスタリカバリ対策も重要です。具体的には、基幹システムのバックアップ・復旧手順、代替拠点の確保、外部委託事業者との連携体制の構築などを事前に策定しておくことが求められます。
業務で扱う主なサーバー環境は、社内で運用するオンプレミスサーバー、社外で運用するクラウドサーバー、そしてデータセンターに自社サーバーを設置するハウジング(コロケーションサービス)の3つが挙げられます。ここでは、それぞれの目的と要件、技術力、コストの観点から比較し、BCP対策に適したサーバー環境選択のポイントを解説します。
オンプレミスサーバー | クラウドサーバー | ハウジング/ コロケーションサービス |
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目的と要件 |
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技術力 |
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コスト |
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オンプレミスサーバーは、自社での高度な制御が可能である一方、拡張性とコスト面での課題があります。
クラウドサーバーは、高いスケーラビリティとカスタマイズ性を備え、コスト最適化も可能ですが、一部の機能では自社での技術力確保が必要です。
ハウジング(コロケーションサービス)は、オンプレミスとクラウドの中間的な特徴を持ち、自社での制御とデータセンターの環境を併せて活用できます。
BCP対策の観点では、オンプレミスよりもクラウドやハウジングが適しています。特にクラウドは、物理的な制約を受けずに高い可用性と災害対策を実現できる点が優れています。ハウジングは、自社での制御を重視しつつ、データセンターの堅牢な環境を活用したい場合に有効です。
各社の状況に合わせて、適切なサーバー環境を選択することが、BCP対策の第一歩といえるでしょう。
ハウジング・ホスティングサービスについて詳しくは、「ハウジングとホスティングの違いとは?自社に合った選択のポイントを解説」もご覧ください。
BCP対策を強化するには、自社のニーズに適したデータセンターのハウジングを選択することをおすすめします。自社所有のサーバー機器をデータセンターに設置し、高度なファシリティとセキュリティ環境を利用できます。
クラウドサービスの中には、サーバーの物理的な保管場所を公開していないものが多くあります。そのため、自社でサーバー機器の物理的な管理を重視する場合や、法規制等で物理サーバーの所在地を明確にする必要がある場合には、ハウジングが適しています。
ハウジングを選択する際は、以下のようなポイントを考慮しましょう。
データセンターには、外部からの侵入を防ぐ物理的なセキュリティ対策が整備されていることが重要です。また、サーバー機器を安定稼働させるための適切な温湿度管理や、電源の冗長化などの環境管理も徹底されている必要があります。
万が一の状況に備え、データセンターに複数の通信回線が確保されているか、電力供給ルートの冗長化が確保されているかも確認しましょう。さらに、地震や水害などの災害への十分な対策も必要です。
ハウジングを提供するデータセンターでは、経験豊富な常駐スタッフによる24時間365日の監視・運用体制が整備されていることも重要です。スタッフにより、迅速なインシデント対応が可能であること、定期的なメンテナンスとアップデートがされていることが求められます。
信頼性の高いハウジングを活用することで、自社サーバーの物理的な保護と、BCP対策の強化を図ることができます。
一方、クラウドサービスは、ハウジングとは異なるアプローチでBCP対策の強化に貢献します。クラウドのもつ高い可用性と冗長性、そしてマルチロケーションでのデータ保持などにより、物理的な制約を受けずに事業継続を支援します。
自社のBCP対策の要件に合わせ、クラウドサービスとハウジングの特性を理解したうえで、最適なサービスを選択することが肝要です。
BCP策定のポイントについて詳しくは、「BCPとは?企業の災害対策に重要なデータセンター選び」「BCP対策成功のポイントはシステムのバックアップサイトへの切り替えにあり!」もご覧ください。
企業にとって、基幹システムの安定稼働、重要なデータの保管・管理、災害時に備えたデータのバックアップなど、サーバーがBCP対策に果たす役割は非常に重要です。一方で、企業規模や業種によって最適なサーバーの種類は異なります。BCP対策の実効性を高めるには、自社のニーズに合ったサーバー環境の選択が欠かせません。
クラウドサーバーは、高い可用性と冗長性、柔軟なスケーラビリティを提供し、運用コストの最適化も可能です。STNetのSTクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]は、高い信頼性とセキュリティを備えたデータセンターで運用され、専門スタッフによる24時間365日の監視体制により、万全のサポートを提供します。
一方、データセンターのハウジングは、自社専用のサーバー機器を、高度なセキュリティと環境管理体制が整ったデータセンターに設置できるサービスです。STNetのデータセンター「Powerico(パワリコ)」は、高品質な環境と運用体制に加え、大規模災害への備えも万全です。自社でサーバーを物理的に管理することで、きめ細かな制御が可能になります。
クラウドサーバーとハウジングは、それぞれ異なる特性を持っています。自社のセキュリティポリシーや法規制への対応、コストなどを総合的に勘案し、最適なサービスを選択することが重要です。
STNetのクラウドサービス、データセンターともに、お客さまのニーズに合わせて柔軟にサービスをご利用いただけます。BCP対策の観点から、最適なサーバー環境にお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。