データセンターとは?5つのメリットと失敗しない選び方を徹底解説

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データセンターの活用は、企業の情報システムの効率とセキュリティを向上させるための重要な選択肢の一つです。データセンターを利用するには、自社のサーバーを格納する「サーバーラック」を使用しますが、種類や規格によってその特性や利用方法が大きく異なります。
そこで本記事では、データセンターのサーバーラックの基本的な概念から規格、選び方、そして、利用の流れまでを詳しく説明します。自社の情報システムに最適なデータセンターを検討するときの参考にしてください。
データセンターの種類や選び方については、こちらでも詳しく解説しています。
最初に、データセンターとサーバーラックについて基本的な知識を押さえておきましょう。
データセンターは、サーバーやネットワーク機器を安全かつ効率的に運用するために特別設計された施設を指します。サーバーやネットワーク機器を収容するためのラックと、その運用をサポートするための各種設備、例えば、高速インターネット接続、冷却装置、大容量電源、空調などが提供されています。これらの設備により、データセンターはサーバーの稼働を安定的に維持し、ITシステムの信頼性を保持しています。
詳しくは「データセンターとは?5つのメリットと失敗しない選び方を徹底解説」をご参照ください。
サーバーラックは、データセンター内で使用される、サーバーやネットワーク機器を安全に収納するための専用の棚のことです。
サーバーやその他のネットワーク機器は米国のEIA(Electronic Industries Alliance:米国電子工業会)規格に準拠し、19インチの幅で設計されることが一般的です。これに対応する形で、サーバーラックの形状と大きさもEIA規格に基づいて設計されています。
そのため、サーバーラックは、ラックのサイズから収容可能な機器の数を判断することができます。最近では、サーバーの性能の向上とAIやディープラーニングへの需要増加に伴い、ラック単位の電力要件も重要なポイントとなっています。
ここでは、サーバーラックの規格であるラックユニット(U)とEIA-310について見ておきましょう。
ラックユニット(U)は、サーバーラックに取り付ける機器の高さを表します。1Uは1.75インチ、つまり44.45mmに相当します。
上述のように、この単位はEIA規格に準拠しており、業界標準の単位です。
このU単位の規格を理解することで、データセンターのスペース効率を最大化し、必要な設備を正確に配置することが可能です。
EIA-310とは、米国電子工業会が策定したサーバーラックの標準規格であり、19インチ(482.6mm)の幅と、上述のラックユニットで高さを定義しています。この幅はラック自体の外寸ではなく、ラック内にある機器マウント用の柱の間隔です。この規格が一般的に採用され、主流となっているため、サーバーラックとそこに取り付ける機器の互換性が保証され、機器の選択と配置が容易です。
一方で、この規格では奥行きが規定されていないため、購入前に機器とラックの奥行きが一致していることを確認しなければなりません。
サーバーラックは、そのサイズと設計によって、収納可能なサーバーの数を左右します。
一般的に、サーバーラックは19インチという標準的な柱の間隔を持ちますが、ラック自体の高さ、幅、奥行きは異なります。
下記は、データセンターで一般的に使用されるサーバーラックの主な寸法です。
ラック幅はどのサイズでも、19インチサーバーを収納可能ですが、ケーブルの脱着や整理、メンテナンスの容易さを考慮して、余裕を持たせた700mmや800mm幅のラックが選択されることも多いようです。このような幅広のラックは「ワイドラック」とも呼ばれます。
また、近年は、より奥行きが長いラックマウントサーバーに対応するため、ラックの奥行きも長くなる傾向があります。
一方で、高さがコンパクトな1/4ラックまたは1/2ラックを提供するサービスもあります。小規模事業者向けにはこれらのオプションが便利でしょう。
これらの寸法と傾向を理解しておくことで、自社のニーズに最適なサーバーラックを選択できます。
サーバーラックを選ぶ際には、選び方のポイントや注意しなければならない点があります。ここでは、重要な7つのポイントについて説明します。
まず、ビジネスの具体的なニーズに応じて、適切な数のサーバーラックを選ぶことが重要です。
現在必要とする機器の数、それらの機器が必要とするラックユニット(U)の数を特定します。検討する際には、短期的なニーズを満たすだけでなく、中長期的な視点も含めましょう。
サーバーラックは適切な冷却機能が必須であり、その機能は設置する機器の数や種類、そして、ラック自体の構造により大きく左右されます。
特に、大量のサーバーを格納する場合や高性能な機器を使用する場合、冷却システムの選択は重要となります。適切な温度管理は、サーバー機器の寿命を延ばし、性能を最大限に引き出すために必要です。ホットアイルとコールドアイルに区分けされた空調を採用しているデータセンターの場合は、ラック前面、背面の開口率が高いラックの方が空調効率の良いラックといえます。
サーバーの性能が向上し、AIやディープラーニングの需要が増えている現代においては、ラック単位の電力要件も重要です。
ラックに設置する機器の電力消費量と、ラックが供給できる電力の量を調べて、不足がないことを確認しましょう。これは、サーバーラックとその中の機器を適切に機能させ、予期しないダウンタイムを防ぐために必要な要件です。
ラックに設置する予定の機器の総重量を考慮し、それに対応する強度を持つラックを選ぶことも重要なポイントです。
特定のラックが支えることのできる最大重量は、ラックの設計と材質によって決まります。重量を適切に配分し、ラックの最大許容重量を超えないようにしましょう。
物理的なセキュリティも重要な考慮点です。ラックに物理鍵または電子錠などの鍵を備えているか、またはパスワードや生体認証などの高度なセキュリティ機能を備えているかを確認します。これらは不正なアクセスを防ぐために重要であり、特に機密情報を扱う場合や重要なシステムを保護する場合には必須です。また、物理鍵の場合は、鍵の保管をどのように行うかも確認が必要です。
将来的な成長を見越して、余裕を持ったラックユニット数を選ぶことは、長期的な視点からコスト効率が高まる選択です。
ただし、これはラックの即時的なニーズとは異なる視点であり、予期せぬハードウェアの追加やアップグレードに対する柔軟性の確保が目的です。適度な拡張性を持つことで、未来の成長と技術的な進歩に対応できるようになります。
最後に、ラックの購入費用と維持管理費用を総合的に考慮し、予算内で最適なラックを選ぶことが重要です。
価格だけでなく、耐久性や品質、メンテナンスの容易さも考慮に入れることで、長期的なコスト効率を高めることができます。全体的なライフサイクルコストを見積もることで、価格とパフォーマンスのバランスを適切に保つことができます。
データセンターのサーバーラックを利用する際の一般的な流れについて説明します。
サーバーラック利用のプロセスは、まず何を達成するためにサーバーラックが必要なのか、具体的な目的と要件を明確にする要件定義から始まります。これには、期待するパフォーマンス、セキュリティ要件、運用対象となるシステムで利用されるサーバーやネットワーク機器など、相互に接続される機器の配置や適切なケーブル長となっているか、また将来的な拡張性など、ビジネスのニーズを全面的に理解することが求められます。
次に、定義した要件に基づき、最適なサーバーラックを選びます。ここでは、上記の「サーバーラックの選び方」を参考にし、要件を満たすと同時にコストパフォーマンスも考慮に入れることが重要です。
選んだサーバーラックにサーバーやほかのネットワーク機器を設置し、必要な配線を行います。この段階では、効率的なエアフローとアクセス性を保つために、機器の配置を慎重に計画する必要があります。
セットアップが完了したら、ラックとその中の機器が適切に動作していることを確認し、定期的なメンテナンスを行います。例えば、機器の清掃、ソフトウェアのアップデート、ハードウェアのトラブルシューティングなどが含まれます。
ビジネスの成長や技術の進歩に対応して、必要に応じてラックのアップグレードや拡張を行います。ラックの拡張性は初期の選択時に考慮するべき重要な要素です。
本記事では、データセンターのサーバーラックの基本概念、種類、規格、選び方、そして利用の流れについて詳しく解説しました。
最適なデータセンターを選択することで、情報システムの効率化、安全性強化、そしてビジネスの競争力向上を実現できます。しかし、データセンターの選択と運用は専門的な知識と経験を要するため、信頼性の高いパートナーとともに計画し、導入することが成功の鍵となります。
STNetは、各種規模とニーズに対応したデータセンターサービスを提供しています。JDCCティア4に準拠した香川県の「Powerico(パワリコ)」では、企業が安全性と拡張性を確保しながら、最も効率的なデータ管理を実現できます。大規模な50ラック専用エリアの構成から、持ち込み機器への対応、さらには1/2ラック、1/4ラック、1/8ラックといったコンパクトハウジングまで、多様な利用シーンに対応しております。また、「Powerico」の標準ラックは、効率的な空調に対応した開口率80%以上、700mm×1,200mm×2,200mm、1,000kg、46U積載可能なワイド&トールラックを提供しており、高密度サーバーなどの積載にも対応いたします。
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