サーバールームとは?
構築のポイントや運用時の注意点を解説

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顧客情報、業務データ、財務データなど、企業が持つ多様なデータを保管するサーバー。業務のデジタル化に合わせ、データの量も増大していることから、サーバー専用のスペースを設置するケースも珍しくありません。ただ、サーバーは一般的なパソコンとは目的や用途、管理方法も異なるため、適切に管理ができないとデータの消失、情報漏えいといったリスクも生じます。そのためサーバールームの設置は、構造や注意点をしっかりと把握したうえで行う必要があります。今回は、サーバールームの概念や構築のポイント、運用時の注意点についてお伝えします。

サーバールームとは?

サーバールームとは、社内で取り扱う多様なシステムやデータを保管するサーバーの設置スペースを指します。保管するデータは企業によっても異なりますが、顧客や取引先のデータ、業務に使用するさまざまなデータ、自社WebサイトやECサイトのアクセスログなどが考えられます。

サーバールームを設置するべき理由

システムやデータを稼働・保管するサーバーのためにスペースを設置すべき理由はいくつか考えられますが、なかでも主な理由として挙げられるのは次のとおりです。

情報漏えいを防止するため

顧客情報や業務データなど自社にとって重要なデータを保管するため、情報漏えい防止対策として通常の執務スペースとは分ける必要があります。

サーバーを正常に稼働させるため

サーバーは通常のパソコンとは違い、24時間365日常に稼働させなければなりません。そのため、サーバーが高温になるのを防ぎつつ、常に正常稼働させるには温湿度管理の徹底が重要です。そこで、執務スペースとは分けることで、万全な管理を実現します。

適切な運用管理を実現させるため

サーバーには重要なデータが保管されているため、定期的にメンテナンスを行い、故障につながるトラブルを未然に防がなければなりません。専用のスペースに集中して設置することで管理が容易になり、トラブルのリスク低減が実現します。

サーバールームを構築するうえで重要なポイント

サーバールームをオフィス内に構築するうえで重要となるポイントは、次のとおりです。

オフィス内のゾーニングを明確にする

サーバールームは重要情報を扱うスペースのため、オフィスでのゾーニングには十分な配慮が必要になります。ポイントは、外部の訪問者からは見えない位置に設置すること、自社社員も普段は使用しない位置に設置することです。また、災害リスクを避けるため、危険物保管場所や火気施設、水道設備などからも離れた位置に設置するとよいでしょう。

空調設備の設置場所に注意する

サーバールームは高温になりやすいため、空調設備を設置し、常に27℃前後を保てるようにしなければなりません。また、サーバーは湿気にも弱いので、湿度調整のできる空調の設置も必要となります。
サーバールーム内の空調効率を高めるポイントは、全体に風を送りやすく効率的な排熱ができる床置き型、床下送風型の空調にすることです。局所的にしか送風できない天井設置型は避けた方がよいでしょう。

防音対策も忘れずに行う

サーバーはかなりの騒音を発生させるため、防音対策をしっかりと行い、業務に影響が出ないようにします。具体的には、サーバーラックの内側に防音防振ネットを設置する、サーバールームの壁に防音パネルを貼るなどがおすすめです。

セキュリティ対策を徹底する

サーバーに保管されたデータの多くは機密情報であるため、セキュリティ対策も欠かせません。防犯カメラの設置、生体認証の導入のほか、入退室管理やサーバーのパスワード設定が必要となります。

サーバールームを運用するうえでの注意点

サーバールームを設置し運用する段階での注意点は、大きく内部要因によるものと外部要因によるものに分けられます。それぞれの主な注意点は次のとおりです。

内部要因による注意点

サーバールーム運用の注意点における内部要因とは、サーバーやサーバールームの設備、メンテナンスなどに関連するものです。

サーバーやネットワーク機器などのメンテナンスを定期的に行う

サーバーやネットワーク機器に故障やトラブルが起きれば、業務が止まってしまう、重要なデータが閲覧できなくなるなど大きな影響が出るリスクが増加します。これを避けるためには、定期的にそれらのメンテナンスを実施し、故障やトラブルを未然に防ぐ対策が必須です。

電源設備や空調設備のメンテナンスも怠らない

サーバーに問題がなくとも、電源や空調が故障やトラブルで止まってしまえば、サーバーの故障につながるリスクが高まるため、電源設備と空調設備のメンテナンスも欠かせません。また、停電時に備え、無停電電源装置(UPS)を設置しておきましょう。万が一の場合でもサーバーに電力を提供し、安全にシャットダウンするまでの時間が確保できます。

外部要因による注意点

サーバールーム運用の注意点における外部要因とは、セキュリティやデータの管理に関連するものです。

サーバールームのルールの策定を行う

サーバールームの運用において、適切なルールの策定が非常に重要です。これにより、サーバールームのセキュリティが向上し、トラブルや事故のリスクを低減できます。まず、サーバールームへのアクセスは、必要な担当者に限定し、アクセスカードや暗証番号を使って不正アクセスを防ぐことが重要です。次に、サーバールームに入退室する際には、必ず記録を取るようにしましょう。これにより、いつ、誰が、何の目的で入退室したかが分かり、問題が発生した際の調査に役立ちます。また、サーバーやネットワーク機器、空調設備など、サーバールーム内の設備の操作は、事前に許可を得た担当者のみに限ることが望ましいです。制定したルールは、関係する全ての担当者に周知し、理解を確認することが必要です。また、サーバールーム内にルールを掲示し、定期的にルールを見直し、必要に応じて更新することも大切です。

複数箇所でバックアップを取る

データのバックアップは必要ですが、サーバールーム内だけでバックアップを取っている場合、そこが自然災害やウイルス攻撃に遭ってしまえば、バックアップの意味はありません。そのため、クラウドも含め別の場所でもバックアップを取っておくことが重要です。特に、自然災害に備えるには、サーバールーム内のルールで定められた通り、物理的に離れた場所でバックアップを取っておく必要があります。
ウイルス攻撃についてより詳しくは、「サイバー攻撃とは?さまざまなリスクから自社を守るための対策を解説」をご覧ください。また、BCP対策について詳しくは、「BCP対策においてクラウド活用が生み出すメリットとは?デメリットを最小化するための注意点も解説」をご覧ください。

サーバールームを外部に設置することも検討する

自社オフィスにサーバールームを設置すれば、カスタマイズの自由度も高いうえ、トラブル発生時にもすぐに担当者が対応できるといったメリットがあります。
しかし、自然災害やウイルス攻撃といったセキュリティ対策が必要な点や、運用保守で担当者にかかる負担が大きいといった課題も少なくありません。
例えば、障害時に担当者が土日や深夜にもかかわらず呼び出され、サーバールームに駆けつけなければならないケースも考えられます。そこで、サーバールームを自社オフィスではなく、外部のデータセンターに設置することも検討しましょう。
データセンターについてより詳しくは、「データセンターとは?5つのメリットと失敗しない選び方を徹底解説」をご覧ください。

サーバールームは外部への設置も選択肢のひとつとして検討することが重要

サーバールームとは、社内で扱われている多様なシステムやデータを稼働・保管するサーバーを設置するスペースです。業務のデジタル化が進むなか、顧客情報や財務情報、業務データなど自社の多様なデータを保管するうえで、欠かせないものと言えます。
ただし、サーバーは専門的な知識を持った人が適切に運用保守をしなければなりません。また、業務拡大により扱うデータが増えれば、サーバールームの拡張も必要になるため、業務スペースの縮小やオフィス移転などの問題も発生する可能性があります。そのため、サーバールームの外部設置も選択肢のひとつとして検討する必要があるでしょう。
STNetでは、国内でも自然災害リスクの低い香川県にデータセンターを構え、BCP対策としても高い効果が期待できます。また、物理サーバー、仮想サーバーのどちらにも対応可能なサービス、STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]を提供しているため、多様な用途に対応することが可能です。
さらに、データセンターには専門の担当者が24時間365日常駐しているため、サーバーの運用保守について、自社の担当者の負担軽減にもつながります。加えて、豊富なマネージドサービスを用意し、運用開始後は原則として担当者がデータセンターに物理的に駆けつける必要がなく,継続した運用が可能です。
システムの安定稼働や安全なデータ保管のため、サーバールームの構築を検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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