サイバー攻撃をされたらどうなる?よくある攻撃事例と対策を解説

課題解決のためのノウハウ
ネットワークのセキュリティは、企業の情報資産を保護するうえで重要な柱のひとつです。従来のネットワークセキュリティと新たに注目されている「ゼロトラストネットワーク」では、その考え方や取り扱い方が大きく異なります。本記事では、ゼロトラストネットワークの基本的な概念から、その注目される理由、従来型との違い、そして導入のポイントまで詳しく解説します。企業のネットワークセキュリティを強化するための新たな選択肢としてご検討ください。
「ゼロトラストネットワーク」とは、「全てのアクセスや通信は信頼しない」というゼロトラストの概念を反映したネットワークです。
現代社会は、ますます進化・巧妙化するサイバー攻撃、多種多様な労働環境、クラウドサービスの積極的な採用など、ビジネス環境が急速に変化しています。一方で、現在主流の境界型防御戦略では、新たなビジネス環境に対して十分な対処ができないことも懸念されています。
そこで、ゼロトラストネットワークの登場です。ゼロトラストネットワークの導入による最大の利点は、現代のビジネス環境の変化に対応する能力を持っているという点です。
ゼロトラストネットワークでは、クラウドサービス、業務用デバイス、社内システムを無条件で信頼せず、全てのアクセスと通信を検証します。それによって、サイバー攻撃からの防御を強化し、安全にクラウドサービスを使用することが可能です。ゼロトラストネットワークの特性は、さまざまな働き方にも柔軟に対応します。
ゼロトラストが注目される背景とメリットを理解することで、現代のビジネス環境で生じる新たな課題への対策を考えることが可能となるでしょう。
ゼロトラストが注目されている理由は、以下の3つに集約されます。
ゼロトラストへの関心の高まりは、企業が直面しているサイバーセキュリティニーズの増大が背景にあります。
現代社会において企業の重要な情報資産は、日々継続的な脅威にさらされるようになっています。その脅威から適切に防御するためには、従来のアプローチを超えた新たな戦略が求められます。ゼロトラストはすべてのユーザーやデバイスに対して個別の認証を要求し、リソースへのアクセスを厳密に制御するため、内外部のセキュリティリスクを最小化できます。そのため、サイバー攻撃などの脅威に対し強力な防御策として注目されているのです。
サイバー攻撃について、詳しくは「サイバー攻撃とは?さまざまなリスクから自社を守るための対策を解説」を、不正アクセスについては「不正アクセスとは?実際の被害事例を用いて対策を詳しく解説」をご参照ください。
クラウドサービスの普及は、企業の重要なデータを「ネットワークの外側」に置くことを意味します。
これにより、従来の境界型防御では脅威に対応できない課題を生み出しています。この「ネットワーク外」のデータを適切に保護するためには、ゼロトラストの原則が重要となります。
クラウドサービスの詳細は「クラウドとは?その種類や活用のメリット・デメリット、導入のポイントを解説」をご覧ください。
テレワークやリモートワークの拡大により、データや端末が社内ネットワークの外側に存在することが常態化しており、従来の境界型防御では守り切れないリスクが発生してしまいます。しかし、ゼロトラストの考えを導入したゼロトラストネットワークであれば、社外からのアクセスを厳しく制御するため、このような新たな働き方であってもデータや端末の保護を確実に行うことができるのです。
従来の「境界型ネットワーク」と、ゼロトラストネットワークについて、情報保護の観点からの違いをここで確認しておきましょう。
境界型ネットワークの最大の特徴は、社内と社外のネットワークを明確に分離し、ファイアウォールを用いて社外からの侵入を防止する点にあります。社内ネットワークに接続している端末は、ファイアウォールを通過してインターネットや社内サーバーに自由にアクセスできます。
しかし、この設計には大きな弱点があります。一度端末がマルウェアに感染し社内に侵入されると、攻撃者はファイアウォールの保護をすり抜け、社内ネットワーク全体を侵害することが容易になってしまうのです。
一方、ゼロトラストネットワークでは、ネットワークの内外を問わず、全ての通信が厳格な検証を受けるという考え方を導入しています。そのため端末がマルウェア等に感染したとしても、その端末からのサーバー接続要求は、適切な認証情報の提示、端末の状態、アクセス時間など、厳しい要件を全て満たさなければ許可されません。
さらに、端末が社外などにあっても、一貫したセキュリティポリシーが適用され、社内の情報システムの安全な利用を保証します。これにより、攻撃者がネットワーク内部から情報システムを侵害することを大幅に防止します。
このように、従来の境界型ネットワークとゼロトラストネットワークは、情報の保護方法とその安全性を確保する手法において大きな違いを持っています。今後、どのような環境でも安全に情報を保護し続けるためには、ゼロトラストの考え方を理解し、導入・活用することが必須となるでしょう。
ゼロトラストネットワークの導入は、組織のネットワーク環境とセキュリティ要件に対する正しい理解と適切な準備が必要です。そのため、下記の6つのポイントに注目して、導入計画を進めることが重要です。
最初に行うべきは、現行のネットワーク環境とその運用状況を正確に理解することです。ネットワークの全体像、通信の流れ、情報資産、IT資産、そしてユーザーとその権限を全て把握することで、防御を重点的に行うべきポイントを明確化できます。これらをもとに、最適なゼロトラストネットワークの設計と適切なITシステムの導入が可能となります。
次に重要な点は、導入するゼロトラストセキュリティが組織の既存のセキュリティ管理ルールと整合性を持つことを確認し、必要に応じてルールを見直すことです。SaaSの利用やBYOD(自己所有のデバイスの業務利用)など、新しい働き方をサポートするためのルール改定が必要な場合もあります。
ゼロトラストネットワークの導入には、適切なアクセス制御の設定が欠かせません。具体的には、接続されるデバイスの制限、未知のデバイスの検出、不適切な通信のブロックなどの実装です。さらに、ネットワークをマイクロセグメントに分割して、各ユーザーやデバイスへのアクセス権限を詳細に制御します。
ゼロトラストネットワークでは、全ユーザーと全アクセスを常にモニタリングし、ネットワークの状況を把握します。これにより、問題やリスクが発生した場合にすぐに検出できるようにします。ネットワーク上でのイベントログを記録・分析し、各端末の接続状況を追跡することも重要です。
また、実際の運用と同時に継続的な分析と改善も大きなポイントです。ネットワーク上のイベントログをもとに問題点を発見し、運用の効率化とセキュリティの強化に取り組みます。重要な改善点が見つかった場合は、全体の運用体制を再評価し、必要に応じて改善します。
ゼロトラストネットワークの導入は専門的な知識を必要とします。そのため、この分野で豊富な経験と実績を持つ外部のパートナーに相談することも有益な選択です。優良な外部パートナーは、技術的な困難を解決するサポートを行い、導入から運用までスムーズに実現してくれるでしょう。
本記事では、新たなセキュリティパラダイムとして関心を集めているゼロトラストネットワークの概要や導入ポイントについて解説しました。ネットワークの現状把握から社内ルールの整備、アクセス管理の設定、ネットワークの監視と分析まで、体系的に理解することが重要となります。そして、その理解をもとに、実運用と改善を継続することで、ゼロトラストネットワークを有効に活用し、企業のセキュリティをさらに強化することが可能です。そのため、社内外からシステムへのアクセスが当たり前となる現代において、いかなるアクセスも厳格に制御するゼロトラストネットワークが注目されているのです。
また、社外にシステムを移行する場合はクラウドもひとつの選択肢となります。
STNetは、STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]を提供しています。このサービスはパブリッククラウドの利便性とプライベートクラウドの安全性を融合し、オンデマンドでリソースの調整と高度なセキュリティネットワーク環境の構築が可能です。また、自然災害の少ない地域である香川県に位置するJDCCティア4準拠のデータセンター「Powerico(パワリコ)」で運用されています。
企業の情報資産を保護し、ビジネスの継続性を維持するための有力な選択肢として、ゼロトラストネットワークの導入をぜひご検討ください。STNetとその強固なインフラは、お客様のセキュリティニーズに応えます。