不正アクセスとは?
実際の被害事例を用いて対策を詳しく解説

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課題解決のためのノウハウ

インターネットの利用が広がる現代において、不正アクセスは個人から企業まで幅広い対象を脅かす深刻な問題となっています。そして万が一、不正アクセスによって情報漏えいが発生した場合には、被害企業が責任を問われることもあります。
そこで本記事では、不正アクセスの具体的な定義や主な形態から、実際に起こった被害事例、そして、その予防策に至るまで詳しく解説します。情報資産を保全し、不正アクセスから自社を守るためにぜひお読み下さい。

不正アクセスとは

「不正アクセス」とは、正当な許可や権限を得ていない者が、電子機器(PC、スマートフォンなど)や情報システム(Webサービス、ソフトウェアなど)に侵入し、そのリソースを利用する行為を意味します。
この行為は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(通称:不正アクセス禁止法)」という法律によって厳しく制限されています。不正アクセス禁止法は、2000年2月13日に施行され、認証機能(IDやパスワードなど)が設定されている機器やシステムに対する不正アクセス行為を明確に禁じたものです。この法律では、無許可のアクセスはもちろん、認証情報の不正取得や、他人による不正アクセスを助長する行為までを幅広く規制しています。
不正アクセスの具体的な形態としては、大きく2つに分けることができます。1つ目は、「不正なログイン」です。不正に取得した認証情報(IDやパスワード)を使用して情報システムや電子機器にログインする行為のことです。2つ目は、「不備への攻撃」です。システムの脆弱(ぜいじゃく)性やセキュリティホール、バグ、設定ミスなどを利用して、情報システムや電子機器の機能を操作または制御する行為を指します。
以上のような不正アクセス行為は、厳しい法的制裁の対象となります。
サイバー攻撃については「サイバー攻撃とは?さまざまなリスクから自社を守るための対策を解説」にて解説しています。

不正アクセスの主な分類

不正アクセスは、さまざまな手法で実行されます。不正アクセスは、行為の特性によって大きく「侵入行為」と「なりすまし行為」の2つに分類されます。それぞれの特性とリスクを理解することで、適切な防衛策を講じることが可能です。

侵入行為

「侵入行為」は、その名のとおり、コンピューターシステム内に不正に侵入する行為を指します。具体的には、ハードウェアやソフトウェアに存在するセキュリティの脆弱性を利用し、防御を突破してシステム内部に侵入します。この種の不正アクセスでは、攻撃者は技術的な知識と特定の脆弱性に対する情報を必要とします。これらの情報は、インターネット上のダークWebなどを通じて取得されることが多いようです。侵入行為は専門的な技術を要するもので、これに対する防御策としては、システムのセキュリティ強化と脆弱性の修正が必要となります。

なりすまし行為

「なりすまし行為」は、他人のアカウント情報を不正に取得してそのアカウントを乗っ取り、行動する行為を指します。具体的には、他人のIDやパスワードを不正に取得し、その情報を用いてサービスにログインします。このような行為は、サービスの利用権を不正に得る、または、アカウント所有者の名前をかたって悪意のある行為をする目的で実行されます。
さらに、アカウント所有者の許可なくIDとパスワードを第三者に提供することも、なりすまし行為に含まれます。なりすまし行為を防ぐためには、アカウント情報の管理強化や、二段階認証などのセキュリティ対策が有効です。
サイバー攻撃をされた場合の対策については、「サイバー攻撃をされたらどうなる?よくある攻撃事例と対策を解説」にて解説しています。

不正アクセスの被害事例

インターネットが普及するにつれて、不正アクセスによる被害も年々増加しています。なかでも特に注目すべき4つの主要な被害事例について詳しく見ていきましょう。

Web改ざん

不正アクセスは、その目的や方法によってさまざまな形をとりますが、代表的な被害のひとつがWebサイトの改ざんです。不正アクセスにより管理者や編集者の権限が不適切に使用され、Webサイトの内容が変更されてしまうというものです。その結果、健全なWebサイトが、訪問者のコンピューターにウイルスを感染させたり、フィッシングサイトに誘導したりする危険な場所に変わり果ててしまうのです。

データの破壊

ランサムウェアによるデータ破壊も不正アクセスの被害の一種です。
ランサムウェアは、重要なデータを暗号化してユーザーがアクセスできない状態にし、解除のための身代金を要求する悪質なプログラムです。日本でも、大手ゲーム会社がランサムウェアの被害に遭い、結果として企業の重要な情報が公開されるという大きな損害が発生しました。

機密情報の漏えい

不正アクセスによる被害は、個人情報の盗難が発端となるケースも少なくありません。
攻撃者は特にクレジットカード情報を狙い、その情報を悪用することでユーザーに直接的な金銭的被害をもたらします。さらに、名前、顔写真、住所、電話番号などの個人情報が流出すると、これらの情報が新たな犯罪や詐欺の手段として利用されることもあります。

アカウントなりすまし

SNSの普及とともに増えているのが、アカウントなりすましによる不正アクセスの被害です。
これは、既存の企業公式アカウントと同じユーザー名やアイコンを使い、その企業の信用を悪用する行為です。また、攻撃者が本物のアカウントを乗っ取ることで、そのユーザー名と信用を利用してさらに大きな被害をもたらすこともあります。

不正アクセスへの対策8つ

企業が不正アクセスによる被害を受けないためには、適切なセキュリティ対策が欠かせません。この章では、8つの不正アクセス対策について説明します。

セキュリティソフトとファイアウォールの活用

不正アクセス対策は、ウイルス侵入を防止したり検知したりする機能などが搭載されているセキュリティソフトとファイアウォールの導入が基本です。
これらはIDやパスワードの管理、迷惑メールのブロック、危険なWebサイトへのアクセス防止に有効となります。なお、ファイアウォールでは、不正通信のブロックとアクセスログの記録が可能なため、適時これらを確認することが重要です。

社内モバイル機器の厳格な管理

企業の活動に不可欠なモバイル機器の管理は、不正アクセス防止策のひとつです。
社員が機器を社外に持ち出すことのリスクを理解し、生体認証システムや暗号化ソフトの導入など、紛失や盗難対策を徹底することが欠かせません。さらに、モバイル機器に保存されるIDやパスワードの取り扱いも慎重に行う必要があります。

強固なパスワードポリシーの採用

推測されにくいパスワードの設定は、不正アクセスを防ぐ基本的な手段です。パスワードリスト攻撃を避けるため、単純な文字列や個人情報を含むパスワードの使用は避けなければなりません。さらに、各サイトやシステムでパスワードを使い回さないことも重要です。
近年では、多要素認証やトークンを使った認証、生体認証、SMS認証など、パスワードだけに頼らない認証方式の採用が主流となっています。

セキュリティ強化型PCの導入

不正アクセスを防ぐため、セキュリティに優れたPCの導入も重要です。これらのPCは認証センサーなどの機能を持っており、不正アクセスのリスクを低減できます。特に、ハードディスクの暗号化や、指紋認証によるログインは、機器の紛失時にも安心できる措置となります。

無線LANルーターのセキュリティ向上

近年では無線LANの利用は必須ですが、無線LANには不正アクセスや通信傍受のリスクがあります。そのため、暗号化方式にWPA3を使用するなど、ルーターのセキュリティ対策を強化することが求められます。

ソフトウェアの定期的な更新

セキュリティホールを突かれるリスクを減らすために、ソフトウェアの更新は欠かせません。OSやその他のソフトウェアの最新情報を確認し、必要な更新を行います。
また、セキュリティパッチがリリースされた際は、迅速に適用することが重要です。ただし、既存ソフトウェアが動作しなくなる恐れがあるため、事前検証は欠かせません。

社内PCへのインストール制限

社員が無断でソフトウェアをインストールすることは、セキュリティリスクを引き起こす危険性があります。
そのため、社内のPCに対してはインストール制限を設ける必要があるでしょう。これにより、未知のソフトウェアによる脆弱性の拡大を防ぐことができます。

外部の専門家に対策を依頼する

セキュリティについては専門性が高いため、さまざまな施策を効果的に実施するのは困難な場合もあります。そのため、外部の専門家に対策を依頼することが効果的です。
実績が豊富で信頼できる外部パートナーであれば、確実なセキュリティ対策を行うだけでなく、万が一の時の十分なサポートも期待できます。自社においてもセキュリティ対策はできる限り万全にするべきですが、外部パートナーの依頼により、さらに強固なセキュリティ対策を築けるでしょう。

セキュアなクラウドサービスで不正アクセスを防止しよう

本記事では、不正アクセスが引き起こす可能性のあるさまざまな問題と、その防止策となる具体的な対策について解説しました。しかし、すべての企業がこれらの対策を完全に実施するのは困難なケースも多いでしょう。そのため、セキュアなクラウドサービスを活用することが、より手軽で効果的な解決策となります。
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最終的に、企業が情報資産を守るためには、不正アクセス防止策の実施はもちろんのこと、安全性の高いITインフラの構築と管理が必須です。STNetはこれらの課題に対し、包括的な解決策と専門技術員によるサポートを提供します。不正アクセス防止策の一部として、またはITインフラ全体のセキュリティ強化として、ぜひSTNetのSTクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]をご検討ください。

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