基幹システムをクラウドに移行する
メリットや手順、注意点を解説

FOR BUSINESS

課題解決のためのノウハウ

従来、人事・会計・販売など、企業にとって基幹となる業務の管理を行うシステムは、オンプレミス環境での運用が一般的でした。しかし、近年はクラウド環境に移行する企業も増加しています。企業の根幹をなす基幹業務のシステムを外部のクラウドで運用するようになったのには、どのような理由があるのでしょうか。今回は、新たに基幹システムのクラウド移行を検討している企業に向け、移行のメリット、スムーズに移行するためのポイントをお伝えします。

オンプレミスからクラウドへの移行については、こちらでも解説しています。

基幹システムとは?

基幹システムとは、人事、会計、販売など、企業が成長していくうえで欠かせない業務を効率化させるためのシステムです。主なものとしては、「人事労務管理システム」「会計管理システム」「販売管理・在庫管理システム」「営業管理システム」「生産管理・生産計画システム」などが挙げられます。
また、近年では、「ヒト・モノ・カネ・情報」を一括で管理し、経営効率化を図るERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)といったものもあり、これも基幹システムのひとつです。

基幹システムのクラウド化が進んでいる理由

基幹システムのクラウド化が進んでいる理由はいくつか考えられますが、主なものは次のとおりです。

クラウド技術の進化が目覚ましい

機能やセキュリティの向上により、オンプレミス環境と変わらない操作性やセキュリティリスクへの対応が実現しています。また、クラウドのデータ管理を行うデータセンターも、JDCC最高水準、FISC準拠など万全の体制を整えている箇所が増え、自社内サーバーよりも安全な管理が可能です。

基幹システムの老朽化が進んでいる

多くの企業で基幹システムの老朽化が進み、新たなシステムへのマイグレーションが喫緊の課題です。しかし、自社内で行うには手間やリスクもあり、より安全かつスムーズに進められるクラウドの活用が増加しています。

基幹システムクラウド化の流れが一般化しつつある

2023年1月、KPMGコンサルティング株式会社が発表した、日本企業を含む世界15カ国の経営層に行った調査では、クラウドの導入を進めている企業は全体の88%。そして、基幹業務のクラウド化を進めている企業は73%という結果が出ています。この結果から、世界的に基幹システムのクラウド化が一般的になりつつあることがわかります。

参照:KPMGグローバルテクノロジーレポート2022

基幹システムをクラウドにするメリット

基幹システムをクラウドにするメリットはさまざまですが、なかでも主なメリットとして挙げられるのは次の点です。

柔軟にシステムの拡張ができる

基幹システムは、企業の成長に合わせて、CPUやメモリ、ディスク容量などシステムの性能を拡張していかなくてはなりません。しかし、オンプレミスでのシステム拡張は手間がかかるうえ、物理的に場所が用意できない場合もあります。これに対してクラウドならば、オプション機能を使い、柔軟に拡張が可能です。

BCP対策につながる

基幹システムをオンプレミスで管理していると、有事の際にはデータが損失してしまうリスクがあります。しかし、クラウドであれば自社とは離れた場所で管理できるため、業務再開時に欠かせない基幹データを守ることができます。

BCP対策について詳しくは、「BCP対策とは?その目的や策定方法、注意点などを解説」をご覧ください。

セキュリティリスクの低減が実現する

サービスにもよりますが、自社サーバーでの管理よりも万全のセキュリティ体制が整備されている場所に基幹システムを預けられるため、サイバー攻撃に遭うリスクの低減も可能です。

テレワークの導入が進む

これまでテレワークが難しかった経理や人事業務なども、基幹システムのクラウド化により在宅でも業務ができるようになるため、全社的なテレワーク導入が可能となります。
クラウドの種類や活用のメリット・デメリットについてより詳しくは、「クラウドとは?その種類や活用のメリット・デメリット、導入のポイントを解説」をご覧ください。

基幹システムをクラウドにする手順

基幹システムをクラウドにする主な手順は次のとおりです。

1.要件を定義する

基幹システムのなかでも何をクラウド化するのか、そして、その理由を明確にします。また、一般的なシステムよりも重要なシステムのため、停止に伴う業務への影響、取引先への影響、関係部署への事前調整、経営層への合意も忘れずに行いましょう。

2.課題点の洗い出し

基幹システムをクラウド化することで生じる課題点や懸念点をすべて洗い出します。そのうえで解決策を検討し、解決が難しい場合は、クラウド化をあらためて検討し直すことが必要です。

3.計画を立案する

課題点や懸念点が解決すれば、スケジュールの設定や移行作業の手順確認など、実際にクラウド化を進める計画を立案します。また、マイグレーションが必要であればこの段階であわせて計画を立てましょう。
マイグレーションについて詳しくは、「マイグレーションとは?メリットや手法、失敗しないためのポイントを解説」をご覧ください。

4.移行作業の実施

スケジュールに合わせて移行作業を開始します。

5.テスト運用後、本格運用の開始

移行作業が終わったらテスト運用を行い、問題がなければ本格運用を開始しましょう。本格運用後もテスト運用時と同様に問題が起きていないか、社内での不具合がないかのチェックを欠かさずに行うことが重要です。

基幹システムをクラウドにする際の注意点

基幹システムをクラウドにする際にはいくつかの注意点があります。

クラウド環境に応じた活用を前提とする

オンプレミスと同じシステムをクラウドにする場合であっても、オンプレミスとまったく同じ環境を構築できるとは限りません。オンプレミス環境を意識しすぎるとかえって操作性が悪くなったり、高価なオプションが必要になったりする場合もあるため、クラウド環境に応じた活用を前提に移行します。

クラウド活用にたけた外部パートナーを活用する

オンプレミスからクラウドへの移行はいくつかの課題があり、クラウドに関する知識や経験が求められます。もし自社だけで行うことが難しい場合は、クラウド活用にたけた外部パートナーを活用した方がスムーズに進められるでしょう。

クラウド移行の主な課題について詳しくは、「クラウド移行の課題とは?自社システムのスムーズな移行を実現する方法を解説」をご覧ください。

基幹システムをクラウドにするには外部パートナーの活用がおすすめ

以前はオンプレミスでの運用が当たり前であった基幹システムも、近年ではクラウド化する企業が増加しています。クラウド技術の進化やセキュリティ対策の充実により、自社内で管理するよりも安全かつ効率的な運用が可能です。
ただ、オンプレミスからクラウドへの移行にはいくつかの課題があるため、スムーズな移行を実現させるためには、クラウド知識に長けた外部パートナーの活用をおすすめします。

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