マイグレーションとは?
メリットや手法、失敗しないためのポイントを解説

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課題解決のためのノウハウ

現在、利用しているシステムを、別の環境もしくはバージョンへ移行させることを意味するマイグレーション。老朽化によってかさむ運用コストの低減、セキュリティリスクの軽減などが主な目的ですが、適切に進めないとかえって高コスト、高リスクになる可能性があります。正しい成果を上げるためには、マイグレーションの目的、種類、手法の把握が欠かせません。今回は、マイグレーションの概要を見たうえで、適切に進めるためのポイントを解説します。システムの老朽化、サポート終了などで次の展開を検討している際には、ぜひ、参考にしてください。

マイグレーションの具体的な手順については、こちらで詳しく解説しています。

マイグレーションとは?

マイグレーションとは、日本語で「移動・移住・移転」などと訳されます。ビジネスでは主に自社で活用するシステムやハード・ソフトウェア、データなどを現在とは別の環境やプラットフォーム、バージョンへ移行することを意味します。また、状況によっては、新しいシステムへの切り替えもマイグレーションと呼びます。

マイグレーションの目的

マイグレーションを行う目的は企業によって異なりますが、主なものとして挙げられるのは次の4点です。

老朽化したシステム、ハード・ソフトウェアなどの刷新

システムやハード・ソフトウェアは日進月歩で多機能、高性能化が進んでいます。顧客の要求に迅速に対応するためには、古いシステムやハード・ソフトウェアを使い続けることがリスクとなるケースも少なくありません。マイグレーションによって刷新を行うことで、顧客への迅速な対応の可能性を高めます。

現状システム、ハード・ソフトウェアのサポート終了によるセキュリティや故障リスクの回避

システムやハード・ソフトウェアには、それぞれメーカーが定めるサポート期間があり、その期間を過ぎてしまうと故障した際のサポートが受けられません。また、更新も止まることから、セキュリティホールが見つかった場合には情報漏洩リスクも高まるため、早急なマイグレーションが必須といえるでしょう。

レガシーシステムの運用、メンテナンスを行えるエンジニアの退職によって可能性が高まるブラックボックス化の回避

古いシステムやハード・ソフトウェアには、現在ではあまり使われないプログラミング言語が使われているケースが少なくありません。そのため、古いプログラミング言語を扱えるベテランのエンジニアが退職すれば、誰もメンテナンスができなくなります。レガシーシステムのブラックボックス化を防ぐためには、マイグレーションが必要です。

成長戦略の一環

マイグレーションの実施は、成長戦略の一環でもあります。多様化する顧客の要求に応じたシステムが不可欠だからです。新たなシステムの導入により、エンジニアのスキルアップ、優秀な人材の雇用などが求められるため、自ずと企業の成長につながります。

マイグレーションの種類

マイグレーションには大きく4つの種類があります。具体的には次のとおりです。

1.レガシーマイグレーション

老朽化、ブラックボックス化してしまったシステムを新しいシステムへ移行するものです。なお、データだけを移行する場合は、データマイグレーションと呼びます。

2.アプリケーションの移行

システムやツール、アプリケーションを既存のハードウェアから新しいハードウェアに移行、最適化するものです。

3.ストレージの移行

これまでデータを格納していた場所から新しい格納先へデータを移行するものです。

4.データベースの移行

アプリケーションの移行において、データベースを扱う製品の刷新、新しいモデルへのバージョンアップをするものです。

マイグレーションとコンバージョンの違い

マイグレーションと混同しがちな言葉としてコンバージョンがあります。コンバージョンとは、日本語で「変換・転換・転化」などと訳され、データやファイルを現在の形式から別の形式に転換することを意味するものです。
マイグレーションは、現在の環境から新しい環境への移行であるのに対し、コンバージョンは、異なる仕様のものへの転換を表します。

主なマイグレーションの手法とそれぞれの特徴

実際にマイグレーションを進めていくための主な手法は次の4点です。

1.リホスト

アプリケーションで使われている言語は変えず、ハードウェアだけを現在稼働しているプラットフォームから新しいプラットフォームへ移行する方法です。一気にマイグレーションを行うのに比べ、移行の負荷が少なく、既存プログラムを継承できるメリットがあります。
最近では、オンプレミス環境で動作しているアプリケーションをクラウド環境や、データセンターのハウジングサービスに移行する、といった形で活用される方法です。
オンプレミスとクラウドについて詳しくは「オンプレミスとクラウドの違いとは?メリット・デメリットと移行の流れをチェック」をご覧ください。

2.リライト

ロジックは変えず、言語だけを書き換えたうえでプラットフォームを移行する方法です。リホスト同様、既存のプログラムの継承に加え、新しい言語に書き換えるため、新たなテクノロジーの恩恵も受けやすくなります。

3.リビルド

システムをすべて刷新し、データのみを新しい環境に移行する方法です。ほかの方法に比べ、既存のアプリケーションの劣化を引き継ぐリスクがないというメリットがあります。

4.リファクタリング

プログラムの内部構造を整理し、特定のエンジニアしかメンテナンスを行えない状況を変える方法です。既存システムのロジックやアプリケーションの仕様変更は行いません。システムは長く利用していると、メンテナンスの度にソースコードが複雑化しがちですが、リファクタリングによって整理されれば、属人化を避けられるというメリットがあります。

マイグレーションを行うメリット

マイグレーションを実施する主なメリットは次のとおりです。

運用、メンテナンスコストの削減

老朽化したシステムは運用やメンテナンスに多額の費用がかかります。マイグレーションを実施すれば、それらの手間が減るためコスト削減が期待できます。

既存システムの有効活用

前述のように、マイグレーションは必ずしも既存システムから新しいシステムへの刷新を意味するわけではありません。言語の書き換えやプラットフォームの移行など、既存システムを残したままで効率化、最適化を行うことも可能です。

老朽化したシステム、ハード・ソフトウェアの刷新による生産性向上

動作が遅い、機能が少ないといったシステムやハード・ソフトウェアを刷新すれば、業務時間が短縮され、生産性の向上につながります。また、クラウドやデータセンターなどを活用すれば、管理にかかる手間も削減され、より生産性の高い業務へ集中できます。

マイグレーションの手法、失敗しないためのポイント

マイグレーションを失敗しないためのポイントとしては、次の3点が挙げられます。

自社課題を明確にすること

まずは自社の業務を滞らせている課題を明確にしましょう。どのシステムのマイグレーションが必要なのか、どのような方法でマイグレーションを行うべきかがはっきりします。

マイグレーションは成長戦略の一環であると理解すること

マイグレーションを単なるシステムの刷新として行っても期待しているほどの効果は得られません。マイグレーションを、成長戦略の一環として理解することが重要です。システムを刷新し、新しい言語への書き換えを行うことによって、社員が新たなスキルを得る機会となるでしょう。そして、会社としても既存事業の改善や新規事業への参入を行えるようになれば、さらなる成長が見込めるでしょう。

外部サービスの活用

オンプレミスのみでのマイグレーションは、運用管理コストやセキュリティリスクなどが以前と変わらないか、もしくは大きくなってしまう可能性もあります。
そこで、クラウドサービスやデータセンターなど外部サービスの活用も検討しましょう。運用管理にかかるコストや手間が軽減されれば、新たなシステムの効果を最大限に活用できるようになる可能性が高まります。

マイグレーションをスムーズに進めるには外部サービスの活用がポイント

マイグレーションとは、主に自社で活用するシステムやハード・ソフトウェア、データなどを現在とは別の環境やプラットフォーム、バージョンへ移行することを指すものです。老朽化したシステムの運用、メンテナンスコストの改善や既存システムの有効活用などメリットも多く、生産性向上にも大きく寄与します。
しかし、単純に古いシステムから新しいシステムへの切り替えと考えてしまうと失敗する可能性もあります。現状、自社が抱える課題を把握し、成長戦略へとつなげていける形でマイグレーションを進めることが重要です。
成長戦略へとつながるマイグレーションのポイントはいくつかありますが、なかでも欠かせないものとしては、クラウド化やデータセンターの活用が挙げられます。オンプレミスのままでは、新たなシステムに切替えたとしても、運用管理コスト、セキュリティリスクなど新たな課題が発生してしまう可能性があります。
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また、自然災害の少ない香川県に立地し、最高水準のJDCCティア4に準拠した西日本最大級のデータセンター「Powerico(パワリコ)」で運用しています。「Powerico」のコロケーションサービスとハイブリッドで運用することも可能です。マイグレーションの検討をする際は、ぜひお気軽にお問い合せください。

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