マネージドクラウドでIT部門の運用が変わる!
効果的な活用方法と選定ポイントを解説

FOR BUSINESS

課題解決のためのノウハウ

現代のビジネスでは、情報システムの安定運用が企業の競争力を左右する要因となっています。多くの企業では、サーバーやハードウェアの老朽化、セキュリティのリスク、災害時の対策など、さまざまな課題に直面しています。マネージドクラウドは有力な解決策のひとつとして注目されており、企業の抱えるIT課題を解決し、コア業務に専念するための方法として多くの企業で採用されています。

本記事では、マネージドクラウドの基本的な概念から、その長所・短所、活用シーンや選び方のポイントに至るまで、詳しく解説します。企業の情報システム部門の方は、自社のIT戦略を考えるうえでぜひ一度ご覧ください。

マネージドクラウドの基礎知識

マネージドクラウドとは

マネージドクラウドとは、クラウドサービスを専門的に管理・運用するためのサービスです。企業が自社サーバーやハードウェアの運用に関するさまざまな課題、例えばセキュリティのリスクや老朽化の問題を感じたとき、このマネージドクラウドが解決策として考えられます。ITリソースの運用や保守作業を外部の専門業者に委託することで、企業はコアビジネスに集中することができます。

マネージドとフルマネージドの違い

マネージドクラウドには、“マネージド”と“フルマネージド”の2種類があります。

マネージドクラウドとは、一部の運用をアウトソーシングするサービスを指します。一方、フルマネージドクラウドとは、サーバーの運用管理・保守の「すべて」をアウトソーシングできるサービスを指します。この違いを理解することで、企業は自社のニーズに合わせて最適なサービスを選択できるでしょう。

マネージドサービスに関して詳しくは「マネージドサービスとは?メリット・デメリットやフルマネージドサービスとの違いについて解説」をご覧ください。

クラウドサービスの種類とマネージドの位置付け

クラウドサービスには、主にIaaS、PaaS、SaaSという3つの提供形態が存在しますが、それぞれの形態におけるマネージドサービスの位置付けについて説明します。

IaaS(Infrastructure as a Service)

IaaSは、サーバーやストレージ、ネットワークなどの基本的なインフラストラクチャを提供するサービスです。仮想マシンや仮想ネットワークなどがIaaSの例となります。マネージドサービスを利用する場合、クラウドプロバイダーが提供するこれらのインフラの運用管理に加え、仮想化ソフトウェアのサポートも提供します。具体的には、仮想環境の設定、パフォーマンスの最適化、セキュリティアップデートの適用、障害発生時の迅速な対応などが含まれます。このような充実したサポートにより、サービス利用企業はITリソースの運用や保守作業における課題を効率的に解決し、よりビジネスに集中することができます。

Iaasに関して詳しくは「IaaSとは?クラウド導入に欠かせないIaaSの概要、PaaSやSaaSとの違いを解説」をご覧ください。

PaaS(Platform as a Service)

PaaSは、アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームを提供するサービスで、IaaSよりもユーザーの責任範囲が縮小します。具体的には、ミドルウェア、OS、開発環境までの運用管理がクラウド事業者によって行われ、これらは通常、マネージドサービスの一部として提供されます。具体的なサービスとしては、「AWS Elastic Beanstalk」や「Microsoft Azure App Service」などが挙げられるでしょう。これらのサービスを使用することで、企業は環境の構築やメンテナンスの手間を省き、アプリケーションの開発や運用に集中することができます。日本国内においても、多くの企業がこれらのPaaSを活用してビジネスアプリケーションの開発や運用を効率的に行っています。

SaaS(Software as a Service)

SaaSは、クラウド上で動作するアプリケーションをエンドユーザーに提供するサービスです。これにより、エンドユーザーはアプリケーションの利用に集中でき、インストールやアップデートの手間を気にせずに利用することができます。例えば、オフィスツールやCRMツールなどがSaaSの例として挙げられます。一般的なSaaS利用では、ユーザーがインターネットを通じてソフトウェアにアクセスし、自ら設定や管理を行う「自己管理型」の利用形態となります。一方で、マネージドサービスを利用する場合、プロバイダーが設定や管理を代行し、ユーザーはより専門的なサポートとカスタマイズされたソリューションを享受することができます。

クラウドサービスの提供形態におけるマネージドサービスの位置付けを理解することで、企業は自社のニーズに応じた最適なクラウドサービスと、マネージドサービスを選択することができます。

クラウドサービスに関して詳しくは「クラウドとは?種類や活用のメリット・デメリット、導入のポイントを解説」をご覧ください。

マネージドクラウドのメリット・デメリット

マネージドクラウドサービスは多くの企業にとって魅力的な選択肢となっていますが、そのメリットとデメリットを正確に理解することが非常に重要です。

メリット

コア業務に集中可能

ITシステムの維持や管理には、多大な時間とリソースが割かれることが一般的です。サーバーの運用・保守、セキュリティ対策、データバックアップ、アプリケーションのアップデートなど、これらのタスクは専門知識を必要とし、定期的な監視や対応が必要です。しかし、マネージドクラウドサービスを利用することで、これらのタスクをクラウドプロバイダーに委託できます。企業のシステム担当者は、日常的な運用やトラブルシューティングから解放され、戦略的なプロジェクトやイノベーションに集中でき、自社の生産性や競争力を高められるでしょう。

専門技術が不要

企業が専門的な技術や知識を持っていなくても、最先端のIT環境を利用できる点も大きなメリットです。特に中小企業やスタートアップなど、ITリソースが限られている企業にとっては専門的な知識を持つスタッフの採用は難しいことが多いですが、マネージドクラウドサービスを利用すれば、クラウドプロバイダーが最新技術やトレンドを取り入れたサービスを提供してくれます。セキュリティの最新対策、高度な監視ツール、効率的なデータバックアップ手法などの専門的なサービスを、追加コストや人的リソースをかけずに利用できる利点は見逃せません。

デメリット

ベンダーロックインのリスク

特定のクラウドプロバイダーの独自技術や仕様に依存することになり、将来的にほかのサービスやプロバイダーに移行する際のコストや手間が増大するリスクがあります。例えば、特定のクラウドプロバイダーのAPIやデータフォーマットを利用してシステムを構築すると、他サービスやプロバイダーへの移行時に、移行先の仕様に合わせるためのシステム再構築に多大なコスト・リソースを割く必要があることが挙げられます。また、長期にわたり特定のプロバイダーと契約を結んでいると、料金の値上げやサービス内容の変更に対しての交渉力が低下する可能性もあります。

社内ノウハウ蓄積の問題

社内の独自技術やノウハウの蓄積が進まないというデメリットも忘れてはいけません。特に、システムのトラブル発生時や新しい機能の導入時に、社内での対応や判断が難しくなる可能性があります。外部のサービスプロバイダーに依存する形になることで、社内のIT部門やスタッフが専門的な知識やスキルを持つ必要性が低くなり、長期的に見ると企業の競争力や柔軟性を低下させるリスクともなり得ます。このため、マネージドクラウドサービスを利用する際は、社内のIT教育やトレーニングも並行して行うことが重要でしょう。

マネージドクラウドの効果的な活用シーンと選定時のポイント

マネージドクラウドはどのように活用されているのでしょうか。効果的な活用シーンや選定時のチェックポイントについて見ていきましょう。

活用シーン

システム運用の負荷軽減

IT部門の負担を大幅に軽減できます。日常的なシステムの監視やメンテナンス、アップデートなど、時間と労力を要する業務を外部の専門家に委託することで、内部リソースをより価値の高い業務に集中させることができます。

安定的なシステム維持

マネージドクラウドプロバイダーは、高度な技術と経験を持つ専門家チームによって、年中無休の監視とサポートを提供しています。手厚いサポート体制により、システムのダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスの連続性を保つことができます。

選定時のチェックポイント

事業ニーズの把握

現在のITインフラの状況や将来のビジネス戦略、成長予測などのビジネスサイドの情報と、システム要件やセキュリティポリシーなどの技術的な要件の双方を網羅的に事前把握することが重要です。また、どのような業務プロセスやアプリケーションがクラウドに移行されるのか、どの程度のスケーラビリティが求められるのか、どのようなデータの取り扱いやプライバシー要件が存在するのかなど、詳細なニーズの洗い出しを行うことで、最も適したサービスやプロバイダーを選定することができます。

サポート体制の確認

サービスの信頼性や品質を保証するために、サポートが24時間365日利用可能か、あるいは特定の時間帯のみかを確認することが必要です。また、問い合わせ時の対応スピードや技術的なスキルを持つスタッフがいるかもポイントです。サポートのチャネル、例えば電話、チャット、メールのどれが利用できるのか、そして日本語サポートがあるかも重要な要素です。これらの基準を考慮して、自社のニーズに適したサポートを提供するサービスを選ぶことが、安定したクラウド利用の鍵となります。

セキュリティ対策

クラウドサービスのセキュリティは非常に重要です。プロバイダーが提供するセキュリティの対策やポリシーを確認し、自社の要件や規制に合致しているかを検証しましょう。また、定期的なセキュリティアップデートやパッチの適用、そしてセキュリティ監査の実施頻度なども確認することが必要です。

クラウドやデータセンターのセキュリティについては、こちらの資料で詳しくご紹介しています。

マネージドクラウド活用でIT部門の課題解決を

今回の記事では、マネージドクラウドの基本的な知識から、そのメリット・デメリット、効果的な活用法までを解説しました。マネージドクラウドは、企業のITインフラを安定的にかつ効率的に運用するための鍵となるサービスです。システムの運用負荷を軽減し、企業のコア業務に集中できるのは、このサービスの大きな魅力のひとつでしょう。サービス選定時には、サポート体制やセキュリティ対策など、さまざまな視点から事前にしっかりとサービスを評価することが重要です。

マネージドサービスで定評のあるSTNetは、高度な技術と信頼性を兼ね備えたサービスを提供し、多くの企業から高い評価を受けています。特に「STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]」とデータセンターセンター「Powerico(パワリコ)」のマネージドサービスは注目されているサービスです。「STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]」は、フレキシブルなクラウド環境を提供し、企業の成長に応じてリソースをスケーリングできるサービスです。一方、「Powerico」のマネージドサービスは、データセンターでのIT機器の運用を強化し、セキュリティと効率性を高めるサービスになります。これらのサービスを通じ、STNetはIT環境構築において、コンサルティングから設計・構築、運用・保守に至るまでの一貫したワンストップサービスを提供します。設計・構築の初期段階からの専門技術員を交えた手厚いサポート体制が大変魅力的とのお声もいただいています。当社のサービスに興味を持たれた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事で紹介しているサービス

STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]

一般的なパブリッククラウドサービスの手軽さに加え、サーバー基盤構築に重要な「安心感」と「自由度」を兼ね備えた新しいクラウドサービスです。

Powerico(パワリコ)

自然災害リスクの低い安全な立地と高信頼のファシリティ、多様な運用サービスで、お客さまのサーバーを安全に保管・運用します。