IaaSとは?クラウド導入に欠かせない
IaaSの概要、PaaSやSaaSとの違いを解説

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「Infrastructure as a Service」の略称で、サービスとしてのインフラストラクチャを意味するIaaSは、システム構築をする際には欠かせないクラウドサービスのひとつです。いまやITを活用したビジネスにおいて、クラウドサービスは必要不可欠の存在となっています。IaaSの活用にはどのようなメリットがあるのでしょう。今回は、クラウドの概要を見たうえで、IaaSとはどのようなサービスなのか、PaaSやSaaSとの違い、選定のポイントなどをお伝えします。本格的なクラウドサービスでのシステム開発を検討している場合はぜひご一読ください。

IaaSの選び方については、以下のダウンロード資料もご覧ください。
クラウドの種類やSaaS、PaaS、IaaS、オンプレミスなども分かりやすく紹介しています。

クラウドとは?

IaaSを知るには、クラウドがどのようなものかをまず理解する必要があります。従来、パソコンを使い、「システムを構築する」「メールの送受信を行う」「データを保管する」などの業務を行うには、社内のサーバーやパソコンにシステム、ツールなどをインストールしておく必要がありました。
これをインターネット経由で、必要なときに必要なものだけを使用できるようにしたのがクラウドです。そして、クラウドを通じて提供されるシステムやツールをクラウドサービスと呼びます。
ビジネスでクラウドサービスを使うメリットは大きく分けて、システムやツールの導入コスト低減、自社のサーバーで管理する手間の削減の2つです。「令和3年情報通信白書」によると、2020年に一部でもクラウドサービスを利用していると回答した企業の割合は68.7%でした。また、クラウドサービスの効果を実感していると回答した企業は87.1%となっています。
これらの結果から、クラウドサービスは多くの企業において、ビジネスで成果を上げるために欠かせないもののひとつとなっているといえるでしょう。

参照:令和3年情報通信白書|総務省

IaaSとは?

「IaaS」「PaaS」「SaaS」とは、ビジネスで活用するクラウドサービスを利用形態から分類したものです。どれも名称が似ているうえ、名前を聞くだけではどのようなサービスなのかも判別しにくいかもしれません。ここではそれぞれについて見ていきましょう。
クラウドサービスの利用形態は、階層構造になっており、一般ユーザーに近いものから次の4つの階層に分類されています。

  • アプリケーション
  • ミドルウェア
  • OS
  • ハードウェア

IaaSは、一般ユーザーからもっとも遠い、ハードウェアの部分に分類され、仮想サーバーやネットワークなどのインフラをネットワーク上で提供するサービスです。
従来は、自社でサーバーやメモリ、ストレージなどを購入し、運用やメンテナンスをしなければなりませんでした。しかしIaaSの登場により、クラウド上で提供されるものから、自社の用途に合わせて、必要なときに必要なだけ自由に組み合わせて使えるようになりました。
IaaSは開発者向けのサービスであり、ゲームやアプリ、ECサイトなどの開発、運営に向いています。「Amazon Web Service」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」などが代表的なサービスです。

IaaSのメリット

IaaSを活用するメリットは、自社でサーバーやメモリ、ストレージなどの導入、管理をするコストや手間がかからなくなることです。また、繁忙期や閑散期に合わせ、利用する機能の増減が自由にできることもコスト低減に大きな効果を発揮します。
さらに、常に最新のバージョンが提供されるため、自らがバージョンアップを行う手間がかからないことも大きなメリットといえるでしょう。
ほかにも、IaaSは、ネットワークやサーバー、ストレージ機能だけを利用する形態のため、プラットフォームやアプリケーションを自由に選択できます。PaaSやSaaSに比べ、環境構築の自由度が高くなります。
そして、IaaS環境を構築しているサーバー本体は、基本的にはデータセンターに設置されています。データセンターは、災害に強い構造となっているため、万が一災害が発生した場合でも、システムが停止するリスクを最小化できます。BCP対策となるのもIaaSのメリットといえます。
BCP対策について詳しくは、「BCP対策とは?その目的や策定方法、注意点などを解説」をご覧ください。

クラウド導入のポイントについては、以下のダウンロード資料もご覧ください。
BCP対策をクラウドで行うべき理由やハイブリッドクラウドの運用なども分かりやすく紹介しています。

IaaSのデメリット

IaaSは組み合わせの自由度が高いというメリットがありますが、逆に自由度が高いからこそ、開発環境構築の知識が不足している場合は、導入から構築までの手間がかかります。専門知識を有する人材が社内にいない場合は、思い通りのシステムを構築することが難しくなるでしょう。

PaaSとの違い

PaaSとは「Platform as a Service」の略称で、前述した4つの階層のうち「ミドルウェア」「OS」「ハードウェア」の3つを提供するクラウドサービスです。主にアプリケーション開発に活用されるサービスで、IaaSと比較して提供される範囲が広いため、組み合わせの自由度はIaaSよりも低くなります。しかし、自由度が低くなる分、開発環境の構築が短時間ですむため、迅速に開発を行えるメリットがあります。
代表的なサービスはIaaSと同様に、「Amazon Web Service」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」などです。

SaaSとの違い

SaaSとは「Software as a Service」の略称で、「アプリケーション」「ミドルウェア」「OS」「ハードウェア」と4つの階層すべてを提供するクラウドサービスです。
IaaSやPaaSは、主に開発者がアプリケーションやゲームなどの開発を行うために活用するサービスですが、SaaSは、一般ユーザーが活用するサービスです。
主なサービスは、GmailやiCloudメールのようなWebメール、ChatworkやLINE WORKSのようなビジネスチャット、ZoomやMicrosoft TeamsのようなWeb会議ツールなどです。
多くのサービスはインターネット環境があればどこでも利用可能なため、在宅業務やモバイルワークなどの多様な働き方に対応できるのが大きなメリットといえます。
ただし、インターネットが使えない環境では利用できず、急にサービスが停止してしまうリスクもあります。

IaaSを選択する際のポイント

さまざまなメリットが得られるIaaSですが、選択を間違えてしまうとメリットが生かせず、成果を上げるのも難しくなってしまうでしょう。ここでは、IaaSを選択する際に注意すべきポイントを解説します。

自社の課題を明確にする

自社の課題を明確にし、課題解決に本当にIaaSの導入が適切なのかどうかを検討しましょう。IaaSのデメリットでも説明したように、IaaSは自由度が高いことから、開発環境の構築には専門知識も必要です。
導入が適切であったとしても、導入・構築のすべてを自社でまかなえるか、専門業者に依頼する必要があるかを事前に考えておかなくてはなりません。コスト低減目的で導入しても、かえって割高になってしまう場合もありえます。

シェア数だけで判断しない

アメリカの調査会社、Gartnerは2022年6月、2021年の世界のIaaS市場シェアを発表しました。その結果は、Amazonが38.9%、次いでMicrosoftが21.1%と上位2社で全体のほぼ6割を占めています。
この結果は日本もほぼ同様なため、とりあえずAmazonを選択しておけば間違いはないと考えがちです。しかし、必ずしも自社の課題解決に最適とはいいきれません。
シェア数や人気だけで判断するのではなく、自社の課題解決にはどのような機能が必要であり、その機能をもっとも簡単に活用できるのはどのIaaSかという観点での選択が重要です。

セキュリティ

クラウドサービスはセキュリティに不安が残ると考える人も少なくありません。しかし、多くのクラウドサービスは、データの保護やセキュリティ対策のプロが対応しているため、自社サーバーで管理するよりも安全である可能性は高いといえます。
ただし、IaaSは自社での運用が基本です。クラウド事業者だけにセキュリティ対策を委ねてしまえばリスクは増大します。対策を怠ればDDoS攻撃やSQLインジェクションなどサーバーに対する攻撃を受けかねません。
もちろん、クラウド事業者によりセキュリティ要件は異なるため、契約の段階でしっかりと確認することをおすすめします。

IaaSは充実したサポート体制と万全なセキュリティ対策が行われているサービスがおすすめ

アプリケーション開発の効率化、コスト低減を実現するIaaSは、いまや多くの企業が活用しています。ただし、これからIaaSの導入を検討している場合、人気が高いからといった観点だけで選択すると失敗してしまうリスクも増大します。
選択のポイントは、自社の課題解決に最適な機能を備えていることです。また、充実したサポート体制が敷かれているか、万全なセキュリティ対策が行われているかについてもしっかりと確認しましょう。
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