ファイアウォールの基本ガイド!運用のポイントまで詳しく解説

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課題解決のためのノウハウ

現代では、情報セキュリティは企業の存続に直結する重要なテーマです。自社のサーバーを持つ企業は、災害やサイバー攻撃などのリスクを常に意識しなければなりません。サイバーセキュリティへの脅威が高まるなか、セキュリティ強化策の定石とされているのが「ファイアウォール」です。

本記事では、ファイアウォールの基本定義から、その仕組み、種類、そして運用ポイントまで詳しく解説します。企業の情報システム部門で働く方々にとって、ファイアウォールに関する知識は必須といっても過言ではありません。また、システムの老朽化に伴い新たな攻撃手法への対応等を迫られ、そのためのコスト増大の課題を抱える企業にとって、ファイアウォールの導入は新たな選択肢となるかもしれません。情報セキュリティを強化するための第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。

ファイアウォールとは

ファイアウォールとは、コンピューターネットワークのセキュリティを高めるためのシステムやソフトウェアのことを指します。具体的には、不正なアクセスやウイルス、マルウェアなどの外部脅威からネットワークを守る壁の役割を果たしています。

ファイアウォールは、特定の通信を許可し、それ以外の通信をブロックすることで、ネットワーク内のデータや情報を保護します。例えば、企業の内部ネットワークとインターネットとの間に設置され、社内の情報が外部に漏れ出すことを防ぐ防波堤の役割を担っています。ファイアウォールは情報セキュリティを確保するうえで非常に重要な要素です。

詳しくは「サイバー攻撃とは?さまざまなリスクから自社を守るための対策を解説」をご覧ください。

ファイアウォールの仕組み

ファイアウォールは、通信内容や送信元、宛先の情報をもとに、許可する通信とブロックする通信とを判断しています。この判断基準は企業によって異なるため、ファイアウォールの設定変更を行うことで、判断基準を柔軟に変えることもできます。

また、ファイアウォールの動作原理には3つのパターンが存在し、これらの動作原理を組み合わせることで、ネットワークのセキュリティを高める役割を果たしています。企業のセキュリティに直結することから、正確な設定や運用が求められ、導入や管理には専門的な知識や経験が必要となります。3つのパターンについて、具体的に見てみましょう。

パケットフィルタリング

パケットフィルタリングとは、ネットワーク上のデータパケット情報をチェックし、設定されたルールに基づいて通信を許可または拒否することです。

具体的には、パケットのヘッダー情報(送信元・送信先のIPアドレス、ポート番号など)を読み取り、これをもとに通信許諾の可否を判断します。例えば、特定IPからのアクセスを拒否したり、あるポート番号を使用する通信をブロックしたりできます。

この方法の利点は、高速な処理が可能であることです。しかし、パケットの内容まではチェックしないため、内容に悪意があるかは判断できません。そのため、ほかのセキュリティ手段と併用することが推奨されます。

サーキットゲートウェイ

サーキットゲートウェイとは、セッション層での通信を監視・制御することです。データ内容を直接調査するのではなく、通信のセッションが許可されたものかを判断します。

通信セッションを確立する際、サーキットゲートウェイがセッションを中断し、セキュリティポリシーに基づいて安全性を評価します。正常な評価の場合、セッションを再開し、データ通信が始まる仕組みです。

この方法の利点は、通信内容を調査しないため高速な通信を可能にする点です。ただし、内容の詳細な検査は行わないので、ほかのファイアウォール原理と併用されることが多いです。

アプリケーションゲートウェイ

アプリケーションゲートウェイとは、アプリケーション層での通信を監視・制御することです。特定のアプリケーション通信だけを対象とし、その通信内容を詳細に検査します。

アプリケーションゲートウェイが通信の中継役として送受信されるデータを検査し、セキュリティポリシーに基づき、不正や危険なデータがないかを確認します。例えば、メールの添付ファイルやWebのダウンロードデータなど、特定アプリケーションの通信内容を深く検査することができます。

この方法の利点は、深いレベルでの通信内容の検査が可能で、高度なセキュリティを提供することです。ただし、詳細な検査を行うため、通信速度が若干遅くなる可能性があります。

ファイアウォールの種類

ファイアウォールにはハードウェアとソフトウェアの2つのタイプがあり、それぞれの特性や用途に応じて選択することが求められます。ハードウェア型は物理的な機器として存在し、ソフトウェア型はコンピューターのプログラムとして動作します。企業ごとの環境やニーズに応じて選択され、ネットワークセキュリティを向上させる重要な役割を担います。

ハードウェアファイアウォール(ファイアウォール機器)

ハードウェアファイアウォールは、物理的な装置として存在し、ネットワークの入口や出口に配置されるものです。この装置は、ネットワークに接続されるすべてのデバイスを保護する役割を果たしています。高いパフォーマンスを持ち、大量のトラフィックを処理する能力を備えています。専用装置のため、ほかのタスクに影響されることなく、安定して動作することも大きな強みです。セキュリティ更新やパッチ適用も中央管理が可能で、企業の大規模なネットワーク環境での使用に適しています。

ソフトウェアファイアウォール

ソフトウェアファイアウォールは、コンピューターやスマートフォンなどのデバイスに予めインストールすることで、ソフトウェアとして動作します。デバイス上でのアプリケーションやサービスの通信を監視し、許可された通信のみが通過できる仕組みで、ユーザーが個別に設定やカスタマイズを行えます。例えば、特定のアプリケーションの通信をブロックしたり、特定のポートを開放したりすることが可能です。また、Windows ファイアウォールのような組み込みのソフトウェアファイアウォールは、OSの一部として提供され、ユーザーが追加のコストなく利用できるという利点があります。

ファイアウォールの設定と運用のポイント

ファイアウォールの設定と運用のポイントは以下のとおりです。

初期設定の重要性を理解する

ファイアウォールの初期設定は、システムのセキュリティ基盤となります。出荷時のデフォルト設定は使いやすさ重視で緩いセキュリティ設定になっていることが多く、そのままにしておけば不正アクセスの可能性が高まります。初期設定で不要なサービスを無効化し、必要な機能だけを有効にすることで、強固なセキュリティの足場固めになります。

カスタマイズの必要性を認識する

ファイアウォールのカスタマイズは、特定の環境やニーズに合わせてセキュリティを最適化するために不可欠です。一般的な設定だけでは、特定の脅威や独自の業務フローに対応できない場合があります。不要な通信をブロックし、必要な通信だけを許可することで、セキュリティを強化しつつ、業務効率も維持できます。しかし、過度なカスタマイズは管理が複雑になるため、バランスを取ることが大切です。

セキュリティポリシーを明確化する

セキュリティポリシーは、組織がどのような通信を許可・禁止するかを明確に定義するものです。明確なポリシーがなければ、ファイアウォールの設定が不適切となり、セキュリティリスクが高まります。また、ポリシーを明確にすることで、スタッフ間の認識のずれや誤解を防ぎ、一貫したセキュリティ対策を実施できる利点もあります。組織の安全を守るために、セキュリティポリシーの策定と継続的な見直しは必要不可欠でしょう。

ログの定期的な確認をする

ファイアウォールのログを定期的に確認し、異常なパターンや不審なアクセスを検出することで、セキュリティインシデントの早期発見と対応が可能となります。また、ミラーポートなどと接続し、不正アクセスなどの監視を行うさまざまなセキュリティ製品を導入するのも有効です。

ソフトウェアのアップデートの重要性を認識する

新しいセキュリティ脅威やサイバー攻撃手法が日々出現するため、ファイアウォールのソフトウェアは常に最新の状態に保つことが重要です。

バックアップとリカバリーの計画をする

万が一の障害やセキュリティインシデント、機器のリプレース時に備えて、設定やログのバックアップを定期的に取得し、リカバリーの計画を立てておくことが必要です。

詳しくは「不正アクセスとは?実際の被害事例を用いて対策を詳しく解説」をご覧ください。

外部パートナーと連携して自社に最適なセキュリティ体制の構築を

ファイアウォールは、情報資産を保護する重要なツールです。適切な設定と運用を行うことで、外部からのサイバー攻撃や不正アクセスを防ぐことができます。しかし、自社に最適な形でファイアウォールを導入する際には、専門的な知見が欠かせず、自社リソースでは対応できない場合も多くあります。そのような場合には、外部の専門パートナーからサポートを受けるのがお勧めです。

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