コロケーションとハウジングの違いとは?選ぶポイントも含めて解説

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企業のITインフラを整備するうえで、「コロケーション」と「ハウジング」は欠かせない存在です。どちらもデータセンターを通じて利用するサービスですが、両者はどのように違うのでしょうか。
本記事では、「コロケーション」と「ハウジング」の違いや共通するメリット、導入のポイントなどについて詳しく解説します。
自社でサーバー設置スペースを抱え、多くの維持費を必要としている際に、運用費や耐障害性などを向上させる施策としてご検討ください。

コロケーションとハウジングの違い

コロケーションとハウジングは、どちらもデータセンターで提供されるサービスです。それぞれの区別はデータセンターによって異なる場合があり、具体的な定義は存在しません。この章では、名称の一般的な使われ方や傾向について説明します。

コロケーションとは

コロケーションは、データセンターから専有スペースをレンタルし、その中でユーザー自身のサーバーや周辺機器を自由に配置できるサービスです。データセンターの空調やセキュリティ設備、電源などのインフラを共有しつつ、自社のIT環境を形成します。以前は通信事業者に対して提供されることが多かったものですが、現在ではその限りではありません。
コロケーションについて詳しくは下記の記事をご覧ください。

ハウジングとは

ハウジングは、データセンターから専用ラックをレンタルし、その中にユーザーのサーバーを設置するサービスです。ハウジングは特定の業種に限定することなく利用されます。ラックごとに契約が結ばれますが、場合によってはデータセンターからラックの位置が指定されることもあります。

どちらも優良なデータセンター選びが重要

コロケーションとハウジングのどちらを選択するかは、ユーザーの要件に大きく依存します。しかし、どちらのサービスを選択する場合でも、質の高いデータセンターを選ぶことが極めて重要です。データセンターの品質は、サービスの可用性や信頼性、セキュリティに直接影響を及ぼします。なお、コロケーションとハウジングの用語の使い方やサービス内容は、データセンターごとに異なる場合があります。サービスを利用する際には、各データセンターが提供している内容を調べておきましょう。

コロケーションやハウジングが活用されるシーンとメリット

この章では、データセンターサービスであるコロケーションやハウジングが広く活用されるシーンと、それらが提供するメリットについて説明します。

BCPと災害対策

データセンターを利用することで、BCP(事業継続計画)の一環として災害に強いインフラを確保することが可能です。多くのデータセンターは災害に強い立地に建設され、建物自体も免震・液状化対策などが施されています。これらにより、災害や停電等の予期せぬ事態が発生した場合でも、サーバーの動作を継続し、事業を運営することが可能となります。
BCP対策時のデータセンターの選び方については下記の記事をご覧ください。

コスト対策

コロケーションやハウジングサービスを利用することで、運用コストを抑制することが可能です。自社でサーバー設置スペースやサーバー専用の空調機を持つ必要がなくなることや、サーバーの設置スペースに関係する専用の運用要員を確保する必要がないことから、電気代や運用費等のコストを削減できます。また、サーバーの台数が増加しても、必要なのは追加スペース分の費用のみであるため、大規模なシステムも経済的に運用できます。

運用管理の継続性

コロケーションやハウジングは、サーバーの所有権がユーザーに帰属することから、ユーザー自身のルールに基づいた保守・管理が可能です。したがって、コロケーションやハウジングを利用しても、自社のルールを継続することができ、運用管理の煩雑化を防ぎます。さらに、データセンター内で自社の好みに合わせた機器構成やレイアウトを自由に行えるため、独自のシステムを柔軟に実現することもできます。

コロケーションやハウジングを検討する際の注意点

それでは、コロケーションやハウジングを選ぶ際に注意すべき点を詳しく見ていきましょう。

データセンターの立地

データセンターの立地は、その利便性と安全性に大きく関係します。立地選定の際に重視すべき要素は、メンテナンスや緊急時に迅速にアクセスできるかどうか、そして地域の地質や気候が自然災害のリスクを低減するかどうかです。具体的には、地震や洪水などの自然災害の危険が少ない地域に位置するデータセンターを選ぶことが、ITインフラを安心して運用するうえでの重要なポイントとなります。

建物の安全性

データセンターを選ぶ際には、建物自体の安全性も大切です。適切な防犯対策がなされているか、建物が耐震・免震構造を有しているかなどは、自社データを預けるための重要なポイントです。それぞれの観点から、建物の安全性を詳細にチェックしましょう。

設備の品質

データセンターの設備の品質は、災害・トラブルに対する備えや、通信の継続性、電力供給の安定性など、ビジネスの安定運営に直接影響を及ぼします。高速・低遅延の通信が継続可能か、UPS(無停電電源装置)や非常用発電機がバックアップとして十分な機能を果たせるか等、災害時でも確保したいサービスの持続性を確認することが必要です。

柔軟性とスケーラビリティ

ビジネスの成長とともにITインフラが拡大する可能性を考慮すると、データセンターの柔軟性とスケーラビリティも重要なポイントとなります。コロケーションを利用する際には、スペースの有無や保守エリアの確保など、将来的な拡張性について十分に検討することが求められます。

運用サービスやサポートの充実度

データセンターが提供する運用サービスや、サポートの充実度について確認することも重要です。サーバーの電源操作などの基本的な作業を代行してもらえるか、サーバー監視や機器レンタルなどの付加サービスが利用できるかなど、サポート体制の整備度合いは選択時の大きなポイントとなります。
さらに、データセンターの物理的なセキュリティも欠かせません。入館方法において、事前申請が必要か、申請のない入館が許可されていないかに加え、緊急時の入館手続きや受付時間についても確認が必要です。例として、受付でICカード型の入館証を受け取りつつ、生体認証の登録が求められるケースや、入館ゲートに生体認証システムが設置されているケースもあります。これらの点をしっかり確認し、自社のニーズに最も適したデータセンターを選ぶことが求められます。

コロケーションとハウジング:それぞれの最適なケース

この章では、コロケーションとハウジングのどちらが向いているか判断する際のポイントについて説明します。

コロケーションが向いているケース

コロケーションサービスは、以下のようなケースに適しています。

  • 規模の大きいサーバー群
  • 汎用機(ホスト)やコンソール卓
  • GPUサーバーやスーパーコンピューター
  • 水冷サーバーなどの特殊機器
  • ラック間のケーブル長に制限のある特殊な通信ケーブルで接続
  • 専用通信ノードなどの運用
  • 電磁シールドやケージ、パーティションでの離隔など、厳格なセキュリティが求められるシステム群
  • 専用の運用サービスが必要

専用のスペースを自由に活用できるため、事業の拡大やデータ量の増加に即応するのに最適です。また、電源管理、温度管理などはデータセンターが担い、オプションとして監視やリカバリなどの運用サービスを提供することも多いため、企業のITチームはほかの重要な業務に集中できます。
そして、サーバーの規模が大きくなるにつれて増加する管理コストの軽減にもつながるでしょう。ただし、コロケーションサービスを利用する場合でも、保守作業についてはユーザー側が、または個別にベンダーと契約して対応することになります。ベンダーが保守作業を行う場合には、ベンダーの入館申請をチェックし、必要に応じてユーザー利用エリアまでエスコートする等をデータセンターが行います。

ハウジングが向いているケース

ハウジングサービスは、小規模なサーバーの運用に適しています。ラック1本からの契約が可能であり、特に自社で小規模なサーバーを管理する場合に高い費用対効果が得られます。空調の敷設費用やサーバー監視に要する人件費などを抑えることができるため、限られた予算内でITインフラを運用することが可能です。また、ハウジングサービスでは、専門性の高い管理にかかる費用を複数のユーザーと共有でき、一部の管理を委託できます。このように、ハウジングサービスは自社のIT環境を効率的に運用するための柔軟性を提供します。

コロケーションとハウジング:それぞれを選ぶ際の注意点

ここでは、コロケーションとハウジング、それぞれの選択時に考慮すべき具体的な要素を詳しく説明します。

コロケーションを選ぶ際の注意点

コロケーションを選ぶ際には、いくつかの重要な要素があります。
まず、大型機器を搬入するために十分なスペースとアクセスがあるかどうかを確認する必要があります。これには、トラックヤードの大きさや搬入の際の通路幅が含まれます。
また、大型機器は通常、大量の電力と適切な冷却が必要なため、データセンターが高密度電源や空調に対応しているかを確認することが重要です。さらに、特定の機器やシステムには特殊な保護が必要な場合があるので、ケージや専用エリア、電磁シールドが設置可能かどうかも確認する必要があります。
保守作業のためのスペースも必要であり、データセンターがメンテナンスを要する機器を安全に、効率的に作業できるスペースを提供しているかについても確認しましょう。
そのほか、自社の機器によっては200V三相電源が求められる場合がありますので、相応の電源が供給されているかの確認も必要です。

ハウジングを選ぶ際の注意点

ハウジングにも、さまざまな要素が影響します。
配線の取り回しを容易にするためには、700mm以上の幅を持つワイドラックがあるかどうかを確認することが大切です。また、多数の機器を集約して搭載できるトールラックが利用可能かどうかも視野に入れましょう。
さらに、配線方法は機器の配置とメンテナンスの効率性に影響を与えるため、架上配線か床下配線かを確認する必要があります。
そのほか、ラック間の配線をデータセンター事業者が行うのか、それとも自己管理するのかも確認しておきましょう。
加えて、アイルコンテインメントの場合、機器の排気の向きや、空いているユニットのブランクパネルの設置について、データセンター事業者が貸し出し対応するかどうかを考慮する必要があります。
これらの要素を総合的に考慮して、ビジネスの要件と予算に最適な選択をすることが重要です。

コロケーションやハウジングを導入してセキュリティを向上

本記事では、データセンターサービスで提供されるコロケーションとハウジングの違い、それぞれの共通するメリット、選ぶ際の注意点などについて解説し、コロケーションとハウジングそれぞれに適したケースを紹介しました。今やデータセンターは企業のBCP対策やコスト対策に欠かせません。情報資産の安全かつ効率的な運営を実現するためには、それぞれの特徴を正しく理解することが重要です。
STNetの提供するデータセンター「Powerico(パワリコ)」は、自然災害のリスクが少ないとされる香川県に立地し、地震や津波の影響を受けにくい場所に設置されています。基礎免震構造を採用した高い堅牢性とセキュリティを有し、さらにユーザーのニーズに応じて、ラックのバリエーションや通信の冗長性、強力な電力供給を行い、ネットワークやクラウドなどのサービスとの連携も可能です。運用保守に関しては、プロフェッショナルなスタッフが在籍しており、高度化する運用ニーズに対応して、お客さまの運用負荷の軽減を実現します。また、コロケーションとハウジングの両方を提供し、三相電源を必要とするような汎用機など特殊な筐体の搬入、高密度電源を必要とする機器群にも対応しております。
企業の情報資産を保護し、ビジネスの持続性を確保するための効果的な選択肢として、コロケーションとハウジングの導入をぜひご検討ください。

この記事で紹介しているサービス

Powerico(パワリコ)

自然災害リスクの低い安全な立地と高信頼のファシリティ、多様な運用サービスで、お客さまのサーバーを安全に保管・運用します。