サーバーダウンの原因は?リスクと防止策について解説

課題解決のためのノウハウ
システムやアプリケーションから出力されるログデータを活用することで、さまざまな課題を解決する手法がログ分析です。近年、ランサムウェアの感染やデータ漏えいなどのセキュリティインシデントが深刻化する中、ログ分析はシステムの安全運用やリスク低減に重要な役割を果たします。本記事では、ログ分析の概要から具体的なメリット、実施時の課題と対策、プロセスまでを解説します。セキュリティ強化やシステム安定運用に関心のある企業担当者さまは、ぜひ最後までご覧ください。
ここではまず、ログ分析とはどのような手法なのか、その概要と企業が得られるメリットについて解説します。
ログ分析とは、システムやアプリケーションが出力するログデータを収集・解析し、さまざまな課題解決に役立てる手法です。収集したログデータを可視化・分析することで、システムの異常検知や障害原因の特定、セキュリティインシデントの早期発見、業務プロセスの最適化などが可能になります。
ログ分析を適切に分析・活用することで、企業は以下のようなメリットを享受できます。
業務プロセスの改善点を見つけ出し、無駄を排除することで業務を効率化し、生産性が向上します。
顧客ニーズを把握し、製品・サービスの改善につなげられます。これが顧客満足度の向上を後押しし、ビジネス拡大にも貢献します。
システムリソースの最適配分と障害の予兆検知により、過剰投資やインシデント発生時のコストを抑制できます。
システムの状態を常時モニタリングし、障害の予兆を早期に検知できます。さらに障害発生時の原因特定が容易になり、迅速な対応が可能になります。
不正アクセスや脅威の兆候をログから検知できるため、インシデントを初期段階で発見し、被害拡大を防げます。
ログ分析によりユーザーの利用実態を把握できます。そのデータを製品・サービスの改善に活かせます。
ログには監査の証跡が含まれており、適切な分析を行うことで、リスクコントロールとコンプライアンス順守を実現できます。
ここでは、ログ分析で注目したい主要なログの種類と、その具体的な活用事例について紹介します。ログの種類ごとの特性を理解することで、より効果的なログ分析が可能になるでしょう。
Webサーバーログ:Webサイトの脆弱性検知や不正アクセスの監視、パフォーマンス分析に活用。Webシステムの適切な運用に不可欠
認証ログ:不正ログインの検知や、アクセス権限の適正な管理に役立つログ
Windowsイベントログ:内部からの不正アクセスの監視やインシデント分析、システム障害の原因特定に有効
操作ログ:業務アプリケーションでの不正操作の検知や、業務プロセス改善の分析に活用
イベントログ:サーバーやネットワーク機器の異常の早期発見、障害原因の特定に効果的
ファイアウォールログ/UTM機器ログ:外部からの不正アクセス検知に不可欠。総合的なセキュリティ対策に活用
DNSログ:DNSトンネリングなどの検知や、ネットワーク通信の監視・分析が可能
設定変更ログ:システム設定の不正な変更を監視し、コンプライアンス確保に活用
印刷ログ: 機密文書の不正な出力を検知し、情報漏洩リスクの低減に活用
物理的ログ:入退室記録やカメラ映像から、不審な動きの検知や施設の利用状況の分析が可能
システム監査ログ:システム全体の操作履歴を記録し、変更管理や不正操作の検出が可能
このように、さまざまなログを組み合わせて総合的に分析することで、システムの安全運用はもとより業務プロセスの改善など、幅広い課題の解決につなげられます。
ログ分析を適切に実施するには以下のプロセスを経ます。各ステップで発生しうる課題とその対策方法についても併せて確認しましょう。
ログの収集・転送は、サーバーやネットワーク機器からログを収集し、ログ管理サーバーへ集約・転送するプロセスです。
課題:ログデータ量の増大によるコスト増と運用負荷増 対策:ログ転送の最適化、ログ圧縮による効率化大量のログデータを保管するためのログ管理インフラの構築が必要不可欠です。さまざまなログ(アプリケーション/システム/セキュリティログ)を一元的に管理できる環境を整備する必要があります。
課題:オンプレミス/クラウドの選択、スケーラビリティ確保、自動化の必要性
対策:クラウドサービスやデータセンターを活用することで、スケーラブルでセキュアなインフラを構築、自動化の推進
目的に応じて適切なログ分析ツールを選定し、運用ノウハウを構築する必要があります。
課題:目的に適したツール選定の難しさ、運用ノウハウ不足
対策:PoC(Proof of Concept:概念実証)実施によるツール評価、専門家の支援を受けることで適切な選定と運用が可能
セキュリティインシデントへの対応が、ログ分析の大きな目的のひとつです。
課題:組織横断的な対応体制の構築が必須
対策:SIEM(Security Information and Event Management:セキュリティ情報およびイベント管理)ツールの導入で可視化を実現し、横断的な対応体制を構築
大量のログデータを人の手で分析するのは現実的ではありません。
課題:高度な分析ノウハウの必要性
対策:AI/機械学習の活用とデータサイエンティストなど専門人材の協力
ログデータが増加してもパフォーマンスを維持できるよう、以下の取り決めも重要となります。
課題:ログデータ量の増加に伴うパフォーマンス低下
対策:スケーラブルなシステム基盤の構築、アーカイブの設定、ルールに基づくログデータの削除
ログ分析を実施する際には、プロセスや課題対策以外にも、以下の点に留意することが重要です。
ログデータには機密情報が含まれる可能性があり、適切な管理が欠かせません。法令や業界ごとのガイドラインに従い、ログの保存期間の設定、データの暗号化、アクセス制限など、セキュリティ対策を徹底する必要があります。また、ログに個人情報が記録されていれば、内部統制ルールの整備など、個人情報漏洩リスクへの対策も求められます。このようなログデータ管理やリスク対策において、専門的な知見を有する外部のデータセンターのサービスを活用することも選択肢のひとつです。
データ管理とセキュリティ対策について詳しくは、お役立ち資料「これだけは知っておきたい クラウドとデータセンターのセキュリティの基礎」もダウンロードしてぜひご覧ください。
ログ分析には、ログ管理インフラの構築費用、ログ分析ツールのライセンス料、運用・保守にかかる人件費など、さまざまなコストが発生します。特に大量のログデータを扱う場合は、その規模に応じてコストも増大するため、事前に見積もりを行うなどの適切な予算管理が不可欠です。場合によってはクラウドなど外部サービスの利用で、コスト最適化を図ることも検討できます。
ログ分析には高度な専門知識が求められるため、中長期的な人材育成が欠かせません。社内でのログ分析研修の実施や、公的機関や民間の研修プログラムへの参加を通じて、担当者のスキルアップを図る必要があります。ただし人材育成には多大な時間とコストがかかるため、外部の専門家によるサポートを活用することも選択肢のひとつとなります。
ログ分析は膨大なリソースを要する高度な取り組みです。上記のようなポイントを押さえて実施しましょう。
ログ分析には、システム運用の安定化やセキュリティ強化、業務プロセスの改善など、多岐にわたるメリットがあります。一方で、ログデータの大量化への対応、適切なツール選定、インシデント対応体制の構築、分析ノウハウの確保といった課題にも直面します。これらの課題を乗り越え、ログ分析を効果的に実施するには、計画的なインフラ整備と体制作り、人材の育成が不可欠です。自社でのリソース確保が難しければ、外部の専門サービスを活用するのがおすすめです。
STNetでは、クラウドサービスとデータセンターサービスを提供し、ログ分析インフラを支えています。STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]は、お客さまの需要に応じてリソースを柔軟に変更可能です。また、高セキュリティと堅牢性に優れたデータセンター「Powerico(パワリコ)」では、大量のログデータを安全に保存・バックアップできます。
そしてこれらのサービスを活用したうえで、セキュリティ運用監視サービス 「NetStare(ネットステア)」やログ管理サービスの「LogStare Collectorクラウド」など、課題に応じたソリューションの利用をおすすめします。NetStareでは専門のセキュリティ運用チームが24時間365日体制で監視を行い、LogStare Collectorではネットワーク監視とログ管理をクラウド上で同時に行えます。システム全体の可視化、アラート機能、ログ分析の自動化など、ログ分析にかかる課題を包括的に解決できる手段となります。
ログ分析のための適切なインフラ構築や運用支援が可能ですので、ご興味のある企業担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
一般的なパブリッククラウドサービスの手軽さに加え、サーバー基盤構築に重要な「安心感」と「自由度」を兼ね備えた新しいクラウドサービスです。
セキュリティのプロがネットワークシステムを24時間365日監視し、脅威への対応を実施します。