持続可能な社会実現のために―再生可能エネルギー導入で企業ができる取り組みとは?

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課題解決のためのノウハウ

再生可能エネルギーは、太陽光や風力、水力などの自然の力を活用したエネルギーです。化石燃料の枯渇や地球温暖化といった課題に対する有効な解決策として、その導入が注目されています。企業は再生可能エネルギーの導入によって、持続可能な社会の構築に貢献できるとともに、経済的なメリットも享受できます。

しかし導入に際しては、発電出力の変動性や立地制約といったデメリットも考慮する必要があり、企業は課題をどのように克服し、環境投資を重視した経営に転換していくのかを問われています。そこで本記事では、再生可能エネルギーの基本から、企業が直面する課題とその解決策、さらには日本と世界の取り組みについて詳しく解説します。再生可能エネルギー導入における企業の取り組みにご興味をお持ちの担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーは、太陽光、風力、地熱、その他の自然界に常に存在する熱や、バイオマスといった動植物に由来する有機物によるエネルギーを指します。これらのエネルギー源は、化石燃料とは異なり枯渇する心配がなく、CO2を排出しないため環境に優しいという大きなメリットがあります。再生可能エネルギーの必要性は、化石燃料の有限性と地球温暖化対策の観点から特に強調されています。

日本では、再生可能エネルギーの普及を促進するために、2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入され、電力会社に対して、再生可能エネルギーで発電した電気を一定の価格で買い取るよう義務付けました。FIT制度によって再生可能エネルギーの導入は加速し、急速に普及が進んでいます。

つまり、再生可能エネルギーの導入は、化石燃料に依存する現状からの脱却、エネルギー供給の安定化、さらには地球温暖化対策においても欠かせない要素と言えます。持続可能な社会を実現するためには、企業をはじめとして、社会全体が再生可能エネルギーへの転換を目指していく必要があります。

再生可能エネルギーのメリット・デメリット

再生可能エネルギーは、その持続可能性や環境への優しさで注目されていますが、メリットとデメリットの両面を持っています。

メリット

枯渇の心配がない

太陽光、風力、水力などの自然エネルギーを活用するため、化石燃料のように枯渇する心配がありません。

環境に優しい

発電時にCO2をほとんど排出しないため、地球温暖化対策に貢献できます。

発電コストの削減に期待できる

技術の進歩により、再生可能エネルギーの発電コストが下がりつつあり、さらなる低コスト化が見込まれます。特に太陽光発電や風力発電では、大幅なコスト削減が実現しています。将来的には、化石燃料による発電よりも経済的になると予測されており、長期的な視点でのコストメリットが期待できます。

エネルギー安全保障に貢献する

国内の再生可能エネルギー資源を活用できるため、国際情勢に左右されないエネルギーの安定供給が可能です。

電力系統への負荷を分散させられる

地域分散型のエネルギー供給ができ、送電ロスの低減や電力系統への負荷集中を回避できます。

地域経済や雇用創出に貢献できる

設備の製造、建設、維持管理などを通じて、地域経済の活性化と新たな雇用創出が期待できます。

デメリット

出力の変動性が大きい

太陽光や風力は、天候によって出力が大きく変動するため、安定した電力供給が難しい側面があります。

立地に制約がある

適地が限られるため、設備設置場所の選定に制約があります。

初期投資コスト・追加コストがかかる

メリットで述べた長期的な発電コストの低下とは異なり、再生可能エネルギー設備の導入には多額の初期投資が必要となり、短期的なコスト面での課題があります。

また、電力系統の運用が複雑化・高度化するなか、出力変動に対応するために蓄電池や送電網の増強などが必要になり、追加コストも発生します。

再生可能エネルギー導入とその拡大には、メリットとデメリットを丁寧に評価し、バランス良く取り入れることが鍵となります。

再生可能エネルギーが求められている理由と導入を加速させるべき必要性

なぜ再生可能エネルギーが求められているのか

再生可能エネルギーが求められている主な理由は、気候変動対策とエネルギー安全保障の確保です。

化石燃料の使用に伴うCO2排出は地球温暖化の主な要因であり、各国は温室効果ガスの削減に向けた取り組みを加速させています。また、化石燃料は有限な資源であるため、枯渇のリスクがあり、エネルギー供給の不安定化につながる可能性があります。

再生可能エネルギーは、これらの課題に対処するための有力な手段として期待されているのです。

再生可能エネルギー導入加速の必要性

気候変動に対する国際社会の関心が高まるなか、温室効果ガスの削減は、気候変動対策の観点から企業にとっては避けて通れない課題となっています。政府の方針、国際的な協定、投資家や消費者の意識の変化などがその理由です。

化石燃料に依存した現在のエネルギーシステムは、資源の枯渇リスクやエネルギー供給の不安定化を引き起こす可能性があります。そのため、再生可能エネルギーへの移行は急務とされているのです。

また、再生可能エネルギーは地域分散型のエネルギーシステムの構築にも適しており、災害時の電力供給の安定性を高めることにもつながります。近年、日本では地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発しており、大規模な停電が発生するリスクが高まっています。地域分散型の再生可能エネルギー供給システムを導入することは、地域社会のインフラの安定に寄与するでしょう。

世界と日本の再生可能エネルギー利用への取り組み

世界と日本の再生可能エネルギー利用に関する取り組みについてそれぞれ見てみましょう。

世界の取り組み

世界各国は、地球温暖化対策として再生可能エネルギーの導入を加速しています。

特に、中国やアメリカは再生可能エネルギー分野で著しい進展を遂げています。2020年には、新型コロナウイルスの流行にもかかわらず、世界の再生可能エネルギーの導入容量は前年比45%超の伸びを示し、過去最高を更新しました。この増加は、国際エネルギー機関(IEA)や国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のデータにも反映されており、太陽光や風力などが主要な成長ドライバーとなっています。

参照:世界で存在感増す再生可能エネルギー|日本貿易振興機構(JETRO)

日本の取り組み

日本では、再生可能エネルギーの普及と導入促進に向けた政策が進行中です。2012年にはFIT制度が導入され、再生可能エネルギーによる発電に対して一定期間、国が定めた価格での買い取りを保証することで、投資を促進しています。

また2014年の第4次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーのうち地熱、水力(流れ込み式)を「推進すべき重要なベースロード電源」と位置付け、2030年までの導入目標を22~24%に設定しました。その後、2021年の第6次エネルギー基本計画によって目標値は36~38%に引き上げられています。

しかし、世界の動向と比較すると日本の再生可能エネルギーの普及率はまだ低く、設備の不足、制度や規制、コスト、適地確保など、多くの課題があります。

現在、日本は地震や台風などの自然災害リスクへの対策として、分散型エネルギーの安定供給能力を強化する方向で取り組みを進めています。再生可能エネルギーのさらなる技術開発とコスト削減、そして社会全体での受容性の向上が、今後の日本のエネルギー政策における重要な鍵となるでしょう。

再生可能エネルギー推進のために企業ができる取り組み

再生可能エネルギー推進のために、多くの企業がさまざまな取り組みを進めています。どのような取り組みが可能なのでしょうか。

再生可能エネルギー導入の具体的事例

近年、多くの企業が再生可能エネルギーの導入に力を入れ始めています。具体的には、自社の電力調達に再生可能エネルギーを積極的に利用したり、事業所や工場に再生可能エネルギー発電設備を設置したりする取り組みが目立ちます。

さらに、再生可能エネルギー関連ビジネスへの新規参入や、関連プロジェクトへの出資を行うケースも増えてきました。こうした企業は、環境配慮型の製品やサービスの開発・提供を通じて、持続可能な社会づくりに貢献しています。そのほか、自治体や地域コミュニティと協力し、地産地消型のエネルギーモデルを構築する先進的な事例も見られます。

RE100イニシアチブへの参加

RE100(Renewable Energy 100%)に参加する企業も増えています。

RE100とは、企業が自社の事業で必要な電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを公約する国際的なイニシアチブです。気候変動対策の一環として重要な役割を果たしているこの取り組みへの参加は、企業の環境への貢献度を示すだけでなく、ブランド価値の向上にもつながります。

RE100に参加する企業は、再生可能エネルギー100%達成に向けてさまざまな戦略を策定し、実践しています。自社で再生可能エネルギー発電所を建設・運営する取り組みのほか、省エネルギー設備投資を行う企業への金融機関による優遇金利の提供など、積極的な取り組みを行っています。

こういった企業の取り組みは、単に企業の社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、長期的には企業価値の向上にも寄与すると考えられています。

再生可能エネルギーの利用拡大は、持続可能な社会への移行を加速させるうえで欠かせない要素であり、企業におけるその取り組みはますます重要性を増しています。

脱炭素に関する企業の取り組みについて、詳しくは「脱炭素化に挑戦する企業の取り組みとは?CO2削減を目指した具体的施策」をご覧ください。

持続可能な社会の実現のために、再生可能エネルギー導入の検討を

再生可能エネルギーは、その枯渇しない性質と環境に優しい発電方法から、今後のエネルギー供給において中心的な役割を果たすことが期待されています。太陽光、風力、水力など、さまざまな形態の再生可能エネルギーが、温室効果ガスの削減やエネルギー自給率向上、さらには災害に強い地域分散型エネルギーシステムの構築に貢献しています。このようなメリットを踏まえ、再生可能エネルギー導入を加速させる必要性が高まっています。

企業にも、再生可能エネルギーを活用した事業戦略が求められています。多くの企業が積極的に再生可能エネルギーの導入を進めており、日本でも関連設備は増加しています。環境負荷の低減だけでなく、長期的なエネルギーコストの削減や、持続可能な社会への貢献という観点からも重要と言えるでしょう。

この流れのなかで、STNetのデータセンター「Powerico(パワリコ)」は、脱炭素型データセンターを目指し、2022年4月から総使用電力の約40%にあたる空調や照明などの共用部分に供給される電力を、再生可能エネルギーに転換しました。そして2024年4月からは、RE100に対応した再生可能エネルギーの利用を希望するお客さまに対し、サーバーに供給する電力についても有償での提供を開始しました。これにより、お客さまはPowericoで使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことが可能となり、環境への負荷軽減に大きく貢献できます。

Powericoは、エネルギーの効率化と社会の脱炭素化への取り組みを推進しています。再生可能エネルギーを活用したデータセンターにご興味のある担当者の方はぜひ、お問い合わせください。

この記事で紹介しているサービス

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自然災害リスクの低い安全な立地と高信頼のファシリティ、多様な運用サービスで、お客さまのサーバーを安全に保管・運用します。