オンプレミスデータゲートウェイとは?
クラウドへのデータ移行をスムーズに進めるポイントを解説

FOR BUSINESS

課題解決のためのノウハウ

現行システムの老朽化やBCP対策などオンプレミスからクラウドへのデータ移行にはいくつかのメリットがあります。しかし、セキュリティ面やデータ転送時間に不安があり、なかなか移行に踏み切れないケースは多いのではないでしょうか? オンプレミスデータゲートウェイは、データ移行時の不安を解消する方法のひとつです。
今回は、オンプレミスデータゲートウェイの概要や機能、利用のメリットに加え、利用時の注意点について解説します。クラウド移行やハイブリッドクラウド環境構築を検討している情報システム部やIT企画部でクラウド移行に不安を持つ担当者の方はぜひ、参考にしてください。

オンプレミスからクラウドへの移行については、こちらでも詳しく解説しています。

オンプレミスデータゲートウェイとは?

オンプレミスデータゲートウェイとは、オンプレミスのデータをクラウドサービスで利用したい場合に、オンプレミスとクラウドの橋渡し的役割を果たすソフトウェアです。
オンプレミスデータゲートウェイは、マイクロソフトが提供するソフトウェアのため、基本的にオンプレミスとMicrosoftのクラウドサービスをつなぐものです。具体的には、Power BI、Power Apps、Power Automate、Azure Analysis Services、Azure Logic Appsなどが利用できます。
例えば、オンプレミスの販売管理システム内にある販売店別の売上データを、クラウド上にあるPower
BIを使って分析したい場合などに、安全かつ迅速にデータ転送を行います。

オンプレミスデータゲートウェイの種類と役割

オンプレミスデータゲートウェイの種類は、共有モードと個人モードの2つです。ここでは、オンプレミスデータゲートウェイの種類と主な役割について解説します。

オンプレミスデータゲートウェイの種類

オンプレミスデータゲートウェイの共有モードと個人モードの概要は、以下のとおりです。

オンプレミスデータゲートウェイ(共有モード)

社内や、本社と支社間で複数の社員が複数のデータソースにアクセスするような場合に適したモードです。単一のゲートウェイをインストールすれば、サポートされているすべてのサービスで複数の社員がオンプレミスデータゲートウェイを共有できます。

オンプレミスデータゲートウェイ(個人モード)

Power BIでのみ使用できるもので、1人でデータソースにアクセスし、他の社員と共有する必要のない場合に適したモードです。
また、マイクロソフト管理サービスで新たにインストールする必要のないモードとして、仮想ネットワーク(VNet)データゲートウェイがあります。これは複数の社員が仮想ネットワークにより保護されている複数のデータにアクセスできるものです。
オンプレミスデータゲートウェイ(共有モード)同様、複数の社員が複数のデータソースにアクセスする必要がある場合に適しています。

オンプレミスデータゲートウェイの役割

オンプレミスデータゲートウェイの役割はさまざまですが、主なものとしては次の2点です。

1.オンプレミスからクラウドへのデータ移行

オンプレミスの基幹システムやデータベースに保存されているデータを、クラウドサービスで利用できるようにするため、安全かつ効率的にデータ移行を行います。

2.ハイブリッドクラウド環境の運用

オンプレミスとクラウドを組み合わせて利用するハイブリッドクラウド環境で、オンプレミスデータとクラウドデータの連携を実現します。具体的には、「オンプレミス データとクラウド データの同期」「オンプレミス データの分析」「オンプレミス データの処理」などです。
オンプレミスとクラウドの違いについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「オンプレミスとクラウドの違いとは?メリット・デメリットと移行の流れをチェック」

オンプレミスデータゲートウェイを利用するメリット

オンプレミスデータゲートウェイを利用する主なメリットは次のとおりです。

1.データ移行の安全性向上

オンプレミスデータゲートウェイは、データ転送にSSLやTLSなどの暗号化技術を使うため、安全なデータ移行を実現できます。

2.データ移行の効率化実現

データ圧縮やデータの分割など、オンプレミスとクラウド間でのデータ移行を効率化し、迅速な移行が可能です。

3.ハイブリッドクラウド環境構築

基幹システムのデータのみをオンプレミスに残し、ほかのシステムはクラウド環境に移行といったハイブリッドクラウド環境を安全に構築できます。また、クラウド環境から、オンプレミス環境のデータに直接アクセスしたり、編集したりすることも可能です。

オンプレミスデータゲートウェイを利用する際の注意点

さまざまなメリットを持ち、ハイブリッドクラウド環境下での効率的な業務を可能にするオンプレミスデータゲートウェイですが、注意点もあります。具体的には、次の2点です。

1.初期設定の労力がかかる

オンプレミスデータゲートウェイをインストールして構成するためには、一定の労力がかかるうえ、専門的な知識やスキルが必要です。

2.維持管理コストがかかる

オンプレミスデータゲートウェイのソフトウェアは定期的な更新が必要であり、維持管理には一定のコストがかかります。また、初期設定同様、維持管理にも専門的な知識やスキルが欠かせません。

ハイブリッドクラウド戦略にはオンプレミスデータゲートウェイの活用がポイント

オンプレミスデータゲートウェイとは、オンプレミスとクラウドを仲介する橋渡し的存在のソフトウェアです。オンプレミスにあるデータをクラウド上のMicrosoftシステムに安全かつ迅速に移行し、業務の効率化を実現します。
現行システムの老朽化やIT機器の運用保守にかかる手間といった課題を抱える企業にとって、クラウド活用は大きなメリットですが、問題点も少なくありません。そこでおすすめしたいのが、必要なシステムは社内やデータセンターにハウジングとして残し、オンプレミスとクラウドを連携させるハイブリッド環境の構築です。オンプレミスデータゲートウェイを活用すれば、セキュリティ面のリスクを抑えつつも快適な環境が実現します。
なお、ハイブリッド環境の構築を行う際は、自然災害の少ない立地や建物自体の強靭さなどBCPとしても安心して利用できるSTNetのデータデンター「Powerico」がおすすめです。
また、クラウドの安全性をさらに高めるには、クラウドサービスの選択にも注意を払わなくてはなりません。STNetでは、お客さまの目的や用途に応じ、パブリッククラウド型のSTクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]や完全オーダーメイド型のSTクラウド サーバーサービス [プレミアムタイプ]などを用意しています。
Microsoftのクラウドとオンプレミスのデータ転送の際、安定した速度でデータの処理や転送を行うためにもスループットの最小レベルの確保は非常に重要です。Azure ExpressRouteを使用することで、オンプレミスのデータソースとAzure データセンター間のデータ転送をスムーズに行うことが可能です。
そこで、STクラウド サーバーサービスに加えておすすめなのが、Azure ExpressRoute接続が可能なST-WANダイレクトコネクトの活用です。広帯域で安定した閉域接続や多様なネットワーク構成、スムーズな接続が可能なため、より高速で安全なデータ転送が実現できます。
ハイブリッドクラウド戦略を実践するためには、オンプレミスデータゲートウェイとSTNetのクラウドサーバーや、STNetのデータセンター「Powerico」、そしてST-WANダイレクトコネクトを組み合わせるとよいでしょう。データのセキュリティと効率性を両立させることができます。詳細情報や導入についての相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。

この記事で紹介しているサービス

Powerico(パワリコ)

自然災害リスクの低い安全な立地と高信頼のファシリティ、多様な運用サービスで、お客さまのサーバーを安全に保管・運用します。

STクラウド サーバーサービス[FLEXタイプ]

一般的なパブリッククラウドサービスの手軽さに加え、サーバー基盤構築に重要な「安心感」と「自由度」を兼ね備えた新しいクラウドサービスです。

ST-WANダイレクトコネクト(クラウド接続)

大手パブリッククラウド向けに異なる経路・設備で構成した専用ネットワークで直接接続するサービスです。

STクラウド サーバーサービス[プレミアムタイプ]

お客さまがお望みのスペックのサーバー機能をオーダーメードで準備し、お客さま専用でご利用いただくタイプのクラウドサービスです。