自然エネルギーと再生可能エネルギーの違いとは?重要なポイントを徹底解説

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自然エネルギーと再生可能エネルギーはしばしば同じ意味で使われがちですが、実は重要な違いがあります。本記事では、2つのエネルギー源の定義を明確にし、それぞれの特徴を紹介します。また、企業が環境にやさしいエネルギーを活用するメリットについても解説します。

環境にやさしいエネルギーの導入は企業にとってなぜ重要なのか、そして、その活用がCO2排出削減にどのように寄与するのかについて、環境負荷の低減や経済的利益の面から見ていきましょう。自社の長期的な成長と環境への貢献に関心をお持ちのご担当者さまは、ぜひ参考にしてください。

自然エネルギーと再生可能エネルギーの違い

自然エネルギーと再生可能エネルギーの違いは以下のとおりです。

自然エネルギー

自然エネルギーとは、自然現象から直接的または間接的に得られるエネルギーです。これには、太陽光、風力、水力、地熱などの再生可能なエネルギーリソースだけでなく、化石燃料のような非再生可能なエネルギーリソースも含まれます。自然エネルギーはその生成プロセスによって、再生可能または非再生可能に分類されることがあります。

再生可能エネルギー

一方、再生可能エネルギーは、使用しても尽きることのない自然のサイクルから得られるエネルギーを指します。主な再生可能エネルギーリソースには、太陽光、風力、水力、地熱、その他の自然界に常に存在する熱、バイオマスといった動・植物など有機物に由来するエネルギーがあります。これらは持続的な供給が可能であり、環境に対する負荷も低いため、未来志向の開発において重要な役割を果たすと考えられています。

再生可能エネルギーは地球の自然なサイクルによって継続的に補充されるため、化石燃料と比較して枯渇のリスクが低く、長期的、安定的にエネルギーを供給可能です。また、CO2排出量の削減やほかの環境問題の軽減に貢献することが期待されています。

再生可能エネルギー活用のメリット、導入状況と課題

再生可能エネルギーの導入については、そのメリットと現在の普及状況に特に注目が集まっています。再生可能エネルギーを利用することの環境上および経済上の利点と、日本および世界における導入状況を詳しく見ていきましょう。

再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギーは化石燃料と比較して、枯渇することなく持続的に利用可能であり、温室効果ガスの排出を大幅に減少させることができるため、環境保護に極めて有効です。また、エネルギー供給の安定性を高め、災害時のリスク管理にも寄与します。さらに、新しい技術の開発や関連産業の創出による経済効果も期待されています。

再生可能エネルギーの導入状況と課題

日本における再生可能エネルギーの導入は太陽光発電が中心となっており、2020年の時点で日本の電力供給の約20%を占めています。しかし、依然として化石燃料に依存する割合が高い状況です。

日本政府は固定価格買取制度(FIT・FIP)を利用し、再生可能エネルギーの導入を支援していますが、導入コストが電力利用者に賦課金として転嫁される側面もあります。

世界的に見ると、再生可能エネルギーの導入は着実に進んでおり、2023年には全世界の電力供給の約32%を占めるまでになっています。特に、欧州連合(EU)では2030年までに再生可能エネルギーの割合を少なくとも40%にすることを目標に掲げており、積極的な取り組みが進められています。また、中国やアメリカでも再生可能エネルギーへの投資が拡大しています。中国は2023年には世界最大の再生可能エネルギー発電国となり、アメリカは2022年の時点で再生エネルギー発電量が石炭発電量を初めて上回りました。

再生可能エネルギーの普及にはいくつかの課題も存在します。例えば、太陽光発電は天候に左右されやすく、安定した電力供給が困難な場合があります。また、再生可能エネルギー全般に関して、発電効率の問題や導入コストの高さは依然として課題です。これらの課題を解決するために、技術開発やシステムの最適化が進められています。

再生可能エネルギーは環境保護とエネルギー安全保障の観点から重要であり、今後、その導入と発展が期待されています。

参照:Renewable generation surpassed coal and nuclear in the U.S. electric power sector in 2022|米国エネルギー情報局(EIA)

   Country Rankings|IRENA

   Amendment to the Renewable Energy Directive to implement the ambition of the new 2030 climate target|欧州委員会

   電力調査統計|環境エネルギー政策研究所

カーボンニュートラル達成に向けた企業の取り組み

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出量をゼロにすることを指します。再生可能エネルギーの活用は、このカーボンニュートラル達成に向けた重要な戦略の一つです。

カーボンニュートラルの達成は、環境を守るためだけでなく、企業の長期的な存続基盤の強化と競争力向上にも直結しています。目標達成のためには、それぞれの企業が現在から具体的な行動を開始することが極めて重要です。以下は、カーボンニュートラル達成に向けた具体的な取り組み方法です。

カーボンニュートラル戦略の策定と実行

カーボンニュートラル達成に向けて、企業は事業規模や特性を踏まえた独自の戦略を策定することが不可欠です。これには、環境影響評価をもとに具体的なCO2排出削減目標を設定し、それを実現するための詳細な行動計画が含まれます。目標設定は、現実的かつ達成可能でなければならず、SMART原則(具体的、測定可能、達成可能、関連性が高い、時間的制限あり)に基づいて行うことが効果的とされています。

戦略の実行には、目標に向けた進捗を定期的に評価する仕組みの構築が重要です。必要に応じて戦略を調整することで、継続的な改善を図ることが可能になります。また、全社的な取り組みとして、従業員に対する環境教育や意識向上活動も同時に進めることが効果的です。さらに、情報開示の透明性を高めることで、ステークホルダーからの信頼を得ることが可能となり、企業価値の向上にもつながると期待されます。

このような戦略的取り組みにより、企業は環境保護だけでなく、長期的な事業の存続と成長にも寄与することができるでしょう。カーボンニュートラルへの取り組みは、単なる規制への対応を超え、企業が社会的な責任を果たし、未来への投資を行うための重要なステップとなります。

再生可能エネルギーと省エネルギー技術の導入

企業がカーボンニュートラルを目指すなかで、再生可能エネルギーの導入と省エネルギー技術の活用は効果的な戦略のひとつとして考えられます。これらの技術は、環境への負担を減らし、エネルギーコストを削減することにつながる可能性があります。

再生可能エネルギーの導入については、特に太陽光発電設置が比較的容易であり、企業施設の屋根や未利用地に設置することで、自社でのエネルギー消費を賄うことが可能です。また、これらのエネルギー源から得られる電力は、電力市場での価格変動の影響を受けにくいため、長期的なコスト削減が期待できます。

省エネルギー技術には、LED照明の導入、高効率の空調システム、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の利用などがあります。これらの技術は、消費電力を削減し、運用コストを下げるだけでなく、エネルギー使用の最適化を図るうえで役立つと考えられます。特にEMSは、エネルギー消費のリアルタイムモニタリングを可能にし、無駄なエネルギー使用を削減するための具体的なデータを提供します。

これらの取り組みを進めることで、企業はエネルギーコストの削減と環境負荷の低減の両方を実現し、社会的責任を果たすとともに、持続可能なビジネスモデルへの転換を加速できるでしょう。

サプライチェーンと製造プロセスの最適化

サプライチェーンと製造プロセスの最適化も、企業活動の環境負荷を削減し効率を高めるために重要な取り組みといえます。サプライチェーンにおける脱炭素化は、原材料の調達から製品が消費者に届くまでの全段階にわたり、環境影響を最小限に抑えることを目指しています。企業は、供給者と協力して環境に優しい材料を選択し、輸送と物流の方法を改善することでCO2排出を削減することができます。例えば、地域的に近いサプライヤーを利用することや、大量輸送ではなく必要最小限の輸送を行うことで、輸送に伴う排出量の大幅な削減が期待できます。

一方、製造プロセスの最適化は、生産効率を向上させながら環境負荷を低減することに重点を置いています。ここには、省エネルギー型の機械の導入、生産工程の自動化、廃棄物の最小化、リサイクルの促進などが含まれます。これらにより、生産に必要なエネルギー量が減少し、不要な材料使用が削減され、全体的な環境への影響が軽減されます。

このような最適化策は、環境だけでなく経済的にも利益をもたらすでしょう。エネルギーと材料の効率的な使用はコスト削減につながり、製品の品質向上や生産性の向上に寄与することが期待されます。企業がこれらの取り組みを積極的に進めることで、持続可能な供給網の構築と、環境と経済の両面での競争力の強化を目指すことができるでしょう。

サステナビリティとコミュニティへの貢献

サステナビリティ(持続可能性)とは、環境や社会・経済の価値が失われることなく長期にわたって続くことを目指す考え方です。

企業にとって、サステナビリティへの取り組みは環境負荷を軽減するだけでなく、コミュニティへの積極的な貢献を意味します。企業が地域社会や、より広い社会に貢献するためには、環境負荷の少ない材料への切り替え、カーボンオフセット・カーボンクレジットの活用、従業員への教育と啓発、さらには政府や自治体との連携が重要な要素になります。

環境負荷の少ない材料への切り替えにより、企業は天然資源の枯渇リスクを減少させ、環境保護を促進することができます。このような取り組みは、企業のブランド価値を向上させ、消費者やビジネスパートナーからの信頼を得る一助となる可能性があります。また、カーボンオフセットとカーボンクレジットは、削減困難な排出量を補填する有効な手段であり、気候変動対策の実効性を高めることに寄与するでしょう。

従業員教育と啓発は、企業文化のなかで環境意識を根付かせるために重要な役割を果たします。従業員が日常的に環境保護の重要性を理解し、それに基づいて行動することが、企業全体のサステナビリティを向上させる鍵となり得ます。さらに、地方自治体や政府との連携を通じて、地域社会における環境保護活動を強化することで、よりコミュニティに貢献できるでしょう。

これらの取り組みを通じて、企業は社会的責任を果たすリーダーとしての役割を期待されます。サステナビリティへのコミットメントは、企業の経済的成長だけでなく、地域コミュニティの福祉と環境保全への貢献も意味するのです。

カーボンニュートラルに向けた企業の取り組みについて詳しくは「脱炭素化に挑戦する企業の取り組みとは? CO2削減を目指した具体的施策」をご覧ください。

企業が再生可能エネルギーを活用するメリット

企業が再生可能エネルギーを導入することは、環境負荷の軽減や経済的な利益などの面で大きなメリットがあります。気候変動への対策としての責任を果たすと同時に、競争力、また社会的評価の向上を図ることが可能です。

環境負荷低減とサステナビリティの向上

再生可能エネルギーの導入は、化石燃料の使用減少に直結し、CO2に代表される温室効果ガスの排出量を大幅に削減します。企業は気候変動対策に貢献し、サステナビリティ目標の達成に向けて重要なステップを踏むことができるのです。

経済的メリットと競争力の強化

長期的に見て、再生可能エネルギー設備の導入は電力コストの削減に寄与します。初期投資は必要ですが、運用コストは従来のエネルギーソースに比べて低く抑えることが可能です。さらに、政府からの補助金や税制優遇措置を活用することで、経済的負担を軽減することも可能です。また、環境に配慮した製品やサービスを求める消費者や投資家からの支持を集めやすくなり、市場での競争力を強化することが期待されます。

社会的評価と企業イメージの向上

環境保全への積極的な取り組みに対する社会からの評価が高まり、ブランドイメージの向上にも直結します。環境に配慮した企業文化の醸成や従業員のモチベーションが高まることにもつながり、社内外において企業イメージが向上するでしょう。

これらのメリットを活かし、多くの企業が再生可能エネルギーへのシフトを進めています。環境と経済の両面での利益を追求し、サステナブルなビジネスモデルへの移行を図ることが、今日の企業に求められる戦略なのです。

再生可能エネルギーの企業戦略について詳しくは、「持続可能な社会実現のために―再生可能エネルギー導入で企業ができる取り組みとは?」をご覧ください。

環境保護のために再生可能エネルギー活用推進を

本記事では、自然エネルギーと再生可能エネルギーの基本的な違いや、企業が再生可能エネルギーを活用するメリットについて解説してきました。再生可能エネルギーは環境負荷を減らすだけでなく、経済的な利益をもたらし、企業のサステナブルな発展にも寄与する可能性があります。

環境に優しいエネルギーソリューションを提供するSTNetは、再生可能エネルギーを利用したデータセンター「Powerico(パワリコ)」を運営しています。「Powerico」は環境に配慮したデータセンターであり、企業がデータの保管と処理をよりクリーンに行えるよう支援しています。電力消費が大きな問題であるIT業界において、CO2排出量削減とエネルギー効率向上を実現する有望なソリューションです。

企業が競争力を持続させるためには、こうした革新的なソリューションへの投資が重要な要素となるでしょう。環境への責任を果たしながらビジネスの機会を拡大するために、STNetのデータセンター「Powerico」の活用をぜひご検討ください。

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