クラウドのセキュリティ対策にVPN接続?
メリットや接続方法を解説

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課題解決のためのノウハウ

企業の情報システムにおいて、セキュリティ対策は常に重要な課題です。現在多くの企業がオンプレミスではなく、クラウドを使用していることにより、セキュリティ対策はさらに重要度を増しています。そこで、よりセキュアな通信を行うために、今注目されているのがVPNです。社内システムへの安全なアクセスを実現するVPNは、セキュリティを強化する有効な対策のひとつです。
本記事では、クラウドのセキュリティ対策に有効なVPNへの理解をあらためて深めるべく、VPNの概念や接続方法、メリット、注意ポイントを解説し、VPNを活用したセキュリティ強化の方法をお伝えします。

クラウドの種類や選定ポイントついては、こちらで解説しています。

VPNとは?

VPNとは、情報の盗聴や改ざんといったセキュリティリスクを軽減するために、インターネット上に専用の通信路をつくり出す技術です。これにより、安全な通信が可能となります。

VPNの基本概念

VPNは、Virtual Private Networkの略称で、仮想的なプライベートネットワークを構築する技術のことを指します。
具体的には、認証を通過した利用者と接続先のクラウドとの間に、通信内容を暗号化したトンネルをつくります。このトンネルを通じて情報が送受信されるため、第三者に情報が漏れることはありません。
ただし、すべての通信を暗号化するため、通信速度に影響をおよぼすことがある点には注意が必要です。

クライアントソフトウェア

VPN接続を行うためには、営業所などの拠点毎にVPNルーターを設置し通信を行うのが一般的ですが、昨今のリモートワークの進展に伴い、各端末にVPNの接続用ソフトウェアをインストールするケースも増えています。
このソフトウェアは、VPNゲートウェイと呼ばれるクラウド側の受け口と通信を行い、ユーザーの認証を行ってからVPN接続を確立します。このような専用のソフトウェアによる認証を通過することで、安全な通信が確保されます。
また、このシステムはモバイル端末にも対応しており、どこからでも安全にクラウドに接続することが可能です。

クラウドへの接続方法の種類

クラウドへの接続には、その方法と特性によって、さまざまなタイプが存在します。ここでは主に、インターネット経由の接続、VPN接続、閉域網接続について解説します。

クラウドについては「クラウドとは?その種類や活用のメリット・デメリット、導入のポイントを解説」をご覧ください。

インターネット経由の接続

インターネット経由の接続はクラウド接続の基本的な形態で、ユーザーのデバイスから直接クラウドサービスへアクセスします。
ただし、この方式は公共のネットワークを介するため、データの漏えいや改ざんといったセキュリティ上のリスクがあります。そのため、信頼性の高いセキュリティ対策が必要となり、十分な情報セキュリティ対策を講じる必要があります。

VPN接続

VPN接続は、ユーザーのデバイスとクラウドサービス間で仮想的なプライベートネットワークを形成します。
この方式は、公共のインターネットを経由しながらも、通信内容を暗号化し、データの盗聴や改ざんを防止します。一方で、VPN製品はスループットなどの機能によって価格が上下するため、必要以上の機能を備えた製品を選択するとコストがかさむ可能性があります。

閉域網接続

閉域網接続は、専用のネットワークを介してクラウドサービスに接続します。これにより、データの漏えいリスクを最小限に抑えることができます。
この方式は、セキュリティ面での優位性を持つ一方で、設置コストと運営コストが高いというデメリットがあります。

閉域網については「閉域網とは?自社インフラのセキュリティ面での不安解消につながる閉域網導入のポイントを解説」をご参照ください。

クラウドにVPN接続するメリット

クラウドへの接続方法には、上述したように、さまざまな接続手段や特性がありますが、ここではVPN接続のメリットに焦点を当てて説明します。

比較的コストが安い

VPN接続の一番の魅力は、閉域網接続と比較した場合のコストの安さです。
特にVPN接続の中でもインターネットVPNは、既存のインターネット網とブロードバンド回線を最大限に活用することで、専用の回線を設置するコストを大幅に削減できます。セキュリティを確保しつつも、経費を抑えたいと考えている企業にとって、非常に魅力的な選択肢となります。
また、導入や運用の手間も軽減できるため、人的リソースの確保にも貢献します。

高いセキュリティ

VPN接続は、データの安全性を高める重要な手段です。データが公共のインターネットを通過する際に暗号化されるため、情報の漏えいリスクを最小限に抑えることができます。
セキュリティの強化は、企業が自社の重要情報を安全に保つため、また、顧客から預かった機密性の高い情報を保護するために、極めて重要です。
また、万が一災害が起きて自社や自団体が入居するビルに被害が及んだ場合でも、クラウドにデータを保存できるためBCP対策としても有効です。

BCPに関して詳しくは、「BCP対策においてクラウド活用が生み出すメリットとは?デメリットを最小化するための注意点も解説」をご参照ください。

社内リソースへのアクセス可

クラウド上のVPNを使用すると、社員はどこからでも社内リソースにアクセスできます。これは、近年のリモートワーク増加により高まっているニーズに応えられることを意味します。
また、VPNは複数の拠点間で安全な通信を確保するため、リアルタイムでのデータ共有が可能です。これにより、企業は業務の効率性を向上させられるでしょう。モバイルデバイスからでも安全にアクセスできるため、出張中の従業員も業務を続けることが可能です。
これらのメリットによって、VPN接続は事業運営の柔軟性を高めることができます。

クラウドにVPN接続する方法

クラウドへのVPN接続は、安全で信頼性の高いネットワーク接続を提供します。ここでは、その設定手順と必要要件について解説します。

クラウドVPN接続の手順と要件

クラウドへのVPN接続を確立するには、一定の手順と要件が必要です。
まず、適切なVPNサービスを選び、そのサービスが提供するソフトウェアまたはアプリケーションをインストールします。次に、VPNプロバイダから提供される認証情報(ユーザー名とパスワード、または証明書)を使用して、ソフトウェアを設定します。設定が完了したら、VPN接続を開始します。
このプロセスでは一般的に高い技術知識は必要ありませんが、VPN接続を適切に設定し、セキュリティを保つためには以下の3点が必要です。

  1. VPNサービスが提供する信頼性のあるセキュリティ機能
  2. 安定したインターネット接続
  3. 最新バージョンのオペレーティングシステムとアンチウイルスソフトウェア

これらの要件を満たしていれば、クラウドへの安全なVPN接続を確立することが可能です。

クラウドにVPN接続する際の注意点

クラウドへのVPN接続には、コスト面やセキュリティ面などで多くのメリットがありますが、注意点もあります。ここでは、主に注意するべきポイントを説明します。

通信速度の状態

VPN接続では、通信速度が不安定になる場合があります。これは、多くのユーザーと帯域幅を共有するため、特にピーク時間には通信が混雑しやすいためです。
また、VPN接続の設定におけるMTU(Maximum Transmission Unit)の値が適切に調整されていない場合も、通信速度の遅延を引き起こす可能性があります。これらの要素を考慮に入れて、適切な帯域幅を選択し、VPN接続のパフォーマンスを最大化することがポイントです。

コスト面の検討

コストは、VPN接続を考慮する際の重要な要素です。一部のVPNサービスは比較的安価ですが、製品やサービスに対する投資が必要となる場合もあります。
例えば、一度に接続できる端末数が多い、トンネリング数が多いなどの機能を持つVPNルーターは、価格が高くなることがあります。具体的なニーズにもとづいて、適切な製品やサービスを選択することが重要です。

外部パートナーの活用

クラウドVPNを安定的かつ十分なセキュリティ対策を講じて利用するためには、専門的な知識と経験が欠かせません。誤った設定で運営していると、情報漏えいなどのリスクを招いてしまいます。
もし、自社で十分なリソースを確保できない場合には、積極的に専門性の高い外部パートナーに依頼することを検討しましょう。
外部パートナーは最新のセキュリティ動向を把握しているため、常に最適なセキュリティ対策を提供できます。専門家に任せることで、高いパフォーマンスとセキュリティを確保することが可能となります。

セキュリティ対策にはクラウドにVPN接続がおすすめ

本記事では、クラウドへのVPN接続の重要性とその方法について詳しく解説しました。正確に実装し運用することで、VPN接続は企業のデータ保護を強化し、安全なデータアクセスを可能とします。一方で、接続の速度やコスト、そして外部パートナーの適切な活用など、慎重に考慮すべき要素が多く存在します。
クラウドとVPNの組み合わせは、現代のデジタルビジネスにおけるセキュリティ対策として不可欠な要素です。適切な知識と理解を持つことで、これらの技術を最大限に活用し、ビジネスの成長を促進できます。そのためには、必要なリソースと専門知識を持つ信頼できる外部パートナーを選ぶことが大切です。

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