LGWAN-ASPとは?種類やサービス提供のメリット、スムーズに提供するためのポイントを解説

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課題解決のためのノウハウ

多くの個人情報を扱う地方公共団体では、閉鎖的なネットワークで庁内LANを互いに接続するための通信基盤であるLGWANを利用しています。しかし、LGWANでは一般的なインターネット経由の業務システムは使えません。そのため、団体ごとに個別の業務システムを開発する必要があり、コスト面や業務効率化の面で負担が生じてしまいます。

そこで、高レベルのセキュリティを維持しつつ、LGWAN経由で多様なサービスの提供を実現するのがLGWAN-ASPです。今回は、地方公共団体に対し業務システムの提供を検討している企業担当者の方に向け、LGWAN-ASPの概要、サービスの種類、LGWAN-ASPとしてのメリットをお伝えします。また、LGWAN-ASPサービスの提供に必要なホスティングサービスを選択する際のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

LGWANについては、以下のダウンロード資料もご覧ください。
地方自治体にサービスの開発や提供を行う企業に向け、地方自治体独自のネットワークや三層分離、LGWANなどの理解を深めるために欠かせない情報を分かりやすく紹介しています。

LGWAN-ASPとは

LGWAN-ASPのLGWANとは、「Local Government Wide Area Network(総合行政ネットワーク)」の略称で、地方公共団体が庁内LANを相互接続するための通信基盤です。そして、LGWAN-ASPとは、府省や地方公共団体、公益法人、民間企業などが、サービス利用者である地方公共団体に対してLGWANを経由して行政事務システムを提供する事業者もしくはサービスのこと(ASP:Application Service Provider)です。

従来、地方公共団体ではセキュリティ保護の観点から、インターネット経由で利用するシステムを使わず、独自にシステムを開発するケースが一般的でした。しかし、システムの老朽化や業務の属人化など担当者の負担が大きかったため、LGWANを経由しつつ、外部のシステムを自治体間で共同利用することを可能にしたのがLGWAN-ASPです。

地方公共団体システム機構(J-LIS)に申請し、LGWAN-ASPサービスとして登録されたシステムは、地方公共団体がLGWAN-ASPアプリケーション及びコンテンツ提供事業者と契約して利用します。これにより、地方公共団体は独自のシステム開発を行う手間やコストの低減、システムの保守管理の軽減が可能です。

なお、LGWANについてより詳しくは、「LGWANとは?地方自治体向けサービスの開発に欠かせないLGWANについて解説」をご覧ください。

LGWAN-ASPサービスの種類

LGWAN-ASPのサービスには、次に挙げる5種類があります。

1. アプリケーションおよびコンテンツサービス

地方公共団体が利用者として直接利用するサービスで、電子申請や届出、行政情報の共有、電子入札・調達などのアプリケーションや情報コンテンツの提供を行います。なお、これらのサービスを稼働させるには、次に挙げる「ホスティングサービス」が提供するサーバーとの連携に対応していなければなりません。

2. ホスティングサービス

ホスティングサービスとは、事業者がデータセンター内のサーバーをインターネット経由で企業や個人にレンタルするサービスです。LGWAN-ASPにおいては、上述したアプリケーションやコンテンツサービスをLGWAN経由で稼働させるためのサーバー機器の提供や、運用管理を行います。

3. ファシリティサービス

ファシリティとは、建物や施設、設備などを意味するものです。LGWAN-ASPにおいては、ホスティングサービスを構成するためのサーバー機器を設置するデータセンターで、電源や空調といった設備を提供します。

4. 通信サービス

ホスティングサービスで提供されるサーバーとLGWANの間を結ぶ専用回線、そしてLGWANと各自治体のLANを結ぶ専用回線の提供を行うサービスです。

5. ネットワーク層および基盤アプリケーションサービス

LGWAN内に接続する庁内ルーターのIPアドレスや、ドメイン名の管理を行うサービスです。また、基本プロトコル群やアプリケーション基盤、認証基盤、ディレクトリ基盤、そしてLGWAN電子文書交換システムなどの提供も行います。

府省や地方公共団体、公益法人、民間企業などが提供するほかの4つのサービスとは異なり、LGWANを運営する電気通信事業者が責任を負うサービスです。

LGWAN-ASPサービスを提供するメリット

地方公共団体へのLGWAN-ASPサービスの提供には、いくつかのメリットがあります。具体的には次のとおりです。

地方公共団体へのサービス機会拡大

LGWANを通じて、地方公共団体と直接ビジネスを行うことが可能になります。それにより、公共市場へのサービス提供の機会が拡大されるでしょう。

高度なセキュリティ対策の実現

情報漏洩リスクの低いLGWANを利用することで、個人情報を含むプライバシー性の高いデータのやりとりが可能です。その結果、安全性の面で高度なセキュリティを確保したうえでサービスの開発・提供が行えます。

信頼性と認知度の向上

LGWAN-ASPとして認定されることで、地方公共団体との取引において、法的要件や規制順守の面での信頼性が向上するでしょう。また、企業の認知度向上やブランド価値向上も期待できます。

長期的なビジネスの継続

地方公共団体へのサービス提供は、長期的な契約や継続的なサービス提供につながることが多いため、安定的にビジネスを継続できる可能性があるでしょう。

LGWAN-ASPサービスに必須のホスティングサービス事業者を選択する際のポイント

LGWAN-ASPサービス接続料金の支払いや開発に関わる初期費用、申請手続きの手間などを自社だけでまかなうのは、多くの初期コストがかかり容易ではありません。このため、アプリケーション提供基盤(LGWAN-ASP ホスティングサービス提供者)は外注するのが一般的です。

LGWAN-ASPに必要なホスティングサービスを選択する際のポイントは、以下のとおりです。

高度なセキュリティ対策の実現が可能なこと

閉鎖的なネットワークで庁内LANを互いに接続するLGWANは、インターネットとは分離されています。そのため、インターネットを介して情報漏洩が起こってしまうリスクが低いホスティングサービス事業者の選択が重要です。提供するシステムによっては戸籍証明書や住民票を扱うため、高度なセキュリティ対策を実現しているホスティングサービス事業者の選択が欠かせません。

スムーズにサービスが開始できること

LGWAN-ASPを活用するには、LGWAN-ASPの構成設計やJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)への各種申請など、さまざまな手間がかかります。そのため、初めて活用する際には、構成設計の相談に乗ってくれてJ-LISへの申請支援もしてくれるホスティングサービス事業者を選択しましょう。煩雑な手間を排し、できるだけシステム開発に集中できるホスティングサービス事業者の選択がおすすめです。

LGWAN-ASPサービスをスムーズに提供するために

LGWAN-ASPとは府省や地方公共団体、公益法人、民間企業などが、サービス利用者である地方公共団体にLGWANを経由して行政事務システムを提供するサービスもしくは事業者(ASP)です。地方公共団体にサービスを提供するには、LGWAN-ASP参加資格取得が不可欠で、取得することでいくつものメリットを得られます。

ただ、参加資格取得の申請にはさまざまな手間がかかるうえ、初めての場合はLGWAN-ASPの構成設計に手間取ってしまうケースも少なくありません。そのため、できるだけスムーズに開始でき、開発に集中できるサービスの選択が必要になります。そこでおすすめなのが、STNetが提供する「STクラウド サーバーサービス[LGWANタイプ]」です。

LGWAN-ASPの構成設計やJ-LISへの各種申請支援はもちろん、必要なサーバーリソースを選択するだけですぐにサービスを始められます。これからLGWAN-ASPサービスの提供事業者になることを検討されている際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事で紹介しているサービス

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全国の地方自治体さまにアプリケーションを、LGWAN(総合行政ネットワーク)上にクラウド型で提供することができるプラットフォームサービスです。