導入事例-IBM01

日本アイ・ビー・エム株式会社

多くの大手企業のシステムを預かるデータセンターとして
IBMが100以上の候補から選んだ拠点とは?

コンピュータの黎明期以来、ITトレンドを牽引してきた日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)。同社は、主力事業であるシステムのアウトソーシングサービスを提供する拠点の1つに、STNetが保有する西日本最大級のデータセンター「Powerico(パワリコ)」を採用した。狙いは東日本大震災以降、ニーズが高まる災害対策への対応。信頼性の高いデータセンター拠点をラインアップに加えることで、サービスの安心をより確かなものとしている。

ポイント

3.11後、災害対策ニーズが拡大 災害に強いサービス基盤が必要に

下野 雅承氏

ハード/ソフトウエアの開発・販売から、システム構築コンサルティング、インテグレーションサービスまで、ビジネスや社会インフラに欠かせないソリューションを提供しているIBM。

同社は、顧客の情報システムを預かり、監視・運用保守などを代行する「戦略的アウトソーシングサービス」を主力事業の1つに位置付けている。これを利用することで、顧客はシステムの運用負荷を軽減し、より多くのリソースをコア業務に配分できるほか、資産のオフバランス化によるコストメリットも得ることが可能だ。「これまで大手を中心に190社様以上に採用いただいており、現在もお客様は増え続けています」と同社の下野 雅承氏は説明する。

サービスは24時間365日止めることが許されないため、データセンターの拠点には、堅牢かつ安全な設備環境が要求されることになる。

そうした中、顧客ニーズが大きく変化する事態が発生した。東日本大震災の発生により、災害対策強化を目的としたアウトソーシングニーズが急増。既存のデータセンターだけでは、対応することが難しくなったのだ。

「特に増えたのが、津波や液状化のリスクに関する相談です。関東圏のお客様からは、物理的に離れた場所にバックアップセンターを設置したいといった要望が増加。また、サーバーの安定稼動に必要な冗長化された電源や空調設備、堅牢な建物設備やセキュリティなどへの要望も増えました」と同社のヴィヴェック・マハジャン氏は話す。

立地環境、ファシリティに加え 電力関連のノウハウを高く評価

そこで同社は、西日本エリアに高品質なデータセンター拠点を増設することを決定した。
新たなデータセンターの建設には、用地選定をはじめ多くの時間とコストがかかるため、それでは顧客の要望に迅速に対応することは難しい。そのためIBMは、外部事業者の100件を超えるデータセンターから、条件に合う物件を比較・検討。採用したのが、香川県高松市にあるSTNetのデータセンター、「Powerico(パワリコ)」である(図)。

3.11以降、アウトソーシングサービスへのニーズが変化。この状況に対応するため、被災リスクの低い立地や建物の堅牢性、安全性などの点を評価してPowericoを採用した
※1 気象庁 震度データベース(過去80年間) 
※2 内閣府 南海トラフの巨大地震による液状化可能性・沈下量について(第二次報告)平成24年8月29日
※3 「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」の通称

「要件に対し、最も高いレベルで応えていたのがPowericoでした」(ヴィヴェック氏)。特にポイントになったのが立地環境だ。香川県では過去80年間、震度6以上の地震が起こっていない※1。万一地震が起こっても、海岸線から約6km、海抜14.5mという津波の影響を受けにくい場所にあるPowericoなら、最悪の事態は回避できる確率が高いのだ。また地質調査により、南海トラフの巨大地震発生時も、液状化の可能性は低いことが分かっている※2。

さらに建物自体の堅牢性も高く評価した。Powericoは、基礎部分の免震構造など耐災害性に優れた仕様を備えているほか、FISC安全対策基準※3に準拠した万全のセキュリティ対策も施されている。

「加えてSTNetは、電力の安定供給に関する豊富な経験を持っています。冗長化された送電経路とUPS(無停電電源装置)などを備えたPowericoは、お客様の重要データをお預かりする新たな拠点にふさわしいと考えました」と下野氏は言う。

こうしてIBMは、Powericoの運用を開始。現在まで、アウトソーシングサービスの西日本エリアの中核拠点として利用を続けている。

3.11以降、アウトソーシングサービスへのニーズが変化。この状況に対応するため、被災リスクの低い立地や建物の堅牢性、安全性などの点を評価してPowericoを採用した
※1 気象庁 震度データベース(過去80年間) 
※2 内閣府 南海トラフの巨大地震による液状化可能性・沈下量について(第二次報告)平成24年8月29日
※3 「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」の通称

運用部門の再編が次なる課題に Powericoを新拠点に決めた理由は

また同社は、アウトソーシングサービスに欠かせないもう1つの部門として「コマンドセンター」を擁している。コマンドセンターとは、スキルフルなオペレーターを配備したオペレーション部門のこと。機器の監視・制御をはじめ、障害発生時の問題切り分けや原因調査、セキュリティパッチ適用まで、サービス全体を担っている。「インフラとオペレーションが揃って初めて、質の高いサービスが実現できるのです」と下野氏は語る。

Powericoの利用開始後も継続的に高まるニーズに対応するには、このコマンドセンターの再編が次なる課題になっていた。そこで同社は、同じPowerico内に、新たなコマンドセンターの拠点を開設することを決定。「コマンドセンターは遠隔地に置くことも可能ですが、止まらないサービスを実現する上では、データセンター同等のインフラ環境を備えなければなりません。そのため当社は、すでに利用を開始していたPowerico内に併設することが、最も合理的だと判断したのです」とヴィヴェック氏は語る。

ただし、今回の判断の決め手は、立地やファシリティだけではなかった。実は、さらに重要なポイントがあったという。

ヴィヴェック・マハジャン氏
PROFILE

社名 : 日本アイ・ビー・エム株式会社   所在地 : 東京都中央区日本橋箱崎町19-21   資本金 : 1353億円

事業概要 : IT業界有数の大手ソリューションベンダーとして、社会や企業ビジネスの発展に広く貢献している。近年はクラウドやアウトソーシングなどのサービス事業を強化。経営革新やビジネスモデル変革を支援するビジネスパートナーとしての存在感を高めている。
URL https://www.ibm.com/jp

掲載している所属部署名、役職名は2016年1月時点のものです。

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